8月に福岡市で起きた交通事故で、後部座席でシートベルトをしていた5歳と7歳の姉妹が死亡した。死因はシートベルトに腹部を強く圧迫されたためとみられる。この事故は、年齢に関係なく、体の小さい子どもはチャイルドシートを使ったほうが安全であることを示した。チャイルドシートの正しい使い方を解説する。

チャイルドシート対象を身長150cm未満に引き上げ

道路交通法では6歳未満にチャイルドシートの使用が義務付けられているが、JAF(日本自動車連盟)は身長140cm未満だった基準を9月から10cm引き上げ150cm未満の子どもに使用を推奨している。

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大人用のシートベルトは小さな子どもには適しておらず、首や腹部など体の柔らかい部分がベルトに強く締め付けられ、事故時に内臓損傷を引き起こす恐れがあるからだ。

身長100cmくらいからは、ジュニアシートが適しているという。

衝突実験を見れば一目瞭然

JAFが行った時速55キロで衝突した実験映像を見ると、チャイルドシートの効果は明らかだ。

チャイルドシートを使用していない場合、子どもが前の座席に激突し、さらに宙を舞って落下する様子が確認された。この衝撃は、頭部に致命的な損傷を引き起こすほど強力だ。

対照的に、正しくチャイルドシートを使用している場合は、身体がしっかり固定され、大きな損傷を防げることがわかった。高速道路などさらに速度が上がる場面では、この衝撃がさらに強まる。

5歳では使用率58%に低下

JAFの調査によると、子どもの年齢が上がるとともにチャイルドシートの使用率が下がることがわかっている。

1歳未満は91.7%と高いが、5歳になると57.9%に低下している。多くの親が、子どもの体格の変化に合わせて早めに大人用のシートベルトに切り替えるケースが多いようだ。

しかし、警察庁のデータによると、チャイルドシートを使っていない場合、6歳以下の致死率は使っていた場合より4.2倍に上がることがわかっている。

間違った使い方が3割

警察庁とJAFの調べでは3割以上がチャイルドシートを正しく使えていないことがわかっている。そこで、JAFに正しい使い方を教えてもらった。

設置する場所は助手席の後ろが適当。前の助手席は、事故時にエアバッグが子どもの顔や体にぶつかる危険があるから勧めないということだ。

取り付けの際は、背もたれと座面がしっかりと密着していることを確認し、緩みを防ぎながらシートベルトをとめ、しっかり固定する。

ヘッドレストを外し、ベルトは肩の少し上の位置に調整するのが理想だ。指一本分の余裕を残してベルトを調節すると、より安全になる。

身長が100cm、体重15kgになったら、150cmまではジュニアシートに移行するのが望ましい。

硬い骨でシートベルトを受ける

チャイルドシート使用者の30.2%が、締め付け不足やベルト位置の誤りなど、間違った使用方法をしていることが分かっている。

誤った装着により、子どもの顔や腹部にベルトがかかってしまうと重大な事故につながることがある。

正しい装着は、肩ベルトを鎖骨や胸骨に通し、腰ベルトは骨盤部分を通し、硬い骨でシートベルトを受けるようにする。
チャイルドシートはレンタルもあり、広島県交通安全協会は年間500円の会員費を払えば2週間、無料で貸し出す。また、半年間で平均6000円前後でレンタルしている会社もある。
装着していても、間違った使い方では、子どもの安全を確保できないので、改めて正しい使い方をしているかどうか点検をしてほしい。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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