訪日外国人客数の増加とともに交通量が増えている、臨海部と都心部を結ぶ大動脈・環状第2号線の「築地虎ノ門トンネル」。築地の再開発に合わせて新たにUターン路が開設される予定で、さらに利用しやすくなるという。
今回は、そのトンネルの安全対策を担う最前線を取材した。
24時間態勢でトンネル内を監視
環状第2号線は江東区有明を起点とし、中央区、港区をまわり、千代田区神田佐久間町を終点とする全長約14キロの道路で、築地虎ノ門トンネルはその1区間で全長は約1.4キロ。環状第2号線の汐留ランプのそば、浜離宮恩賜庭園のすぐ横には、高さ45メートルの換気塔を備えた築地換気所がある。
この記事の画像(4枚)ここには、トンネル換気用の巨大プロペラファンのほかに、24時間有人でトンネルを監視する指令センター(監視室)がある。
普段は立ち入り禁止の場所だが特別な許可を得て内部を取材した。
指令センターには大きなモニターが設置されていて、トンネル内に設置された監視カメラから送られてくるリアルタイムの映像が見られるようになっている。トンネル内で事故や災害など不測の事態が発生した場合に即座に対応できるよう、職員が24時間交代でモニターを監視し続けている。
これまでに幸い大きな事故は起きていないが、トンネルの地理的な要因で、発生しやすいある落下物のトラブルがあるという。
その答えはあとでお伝えするとして、ここで築地虎ノ門トンネルの現状を紹介する。
築地市場跡地再開発に合わせて新たにUターン路開設へ
全長約1.4キロの築地虎ノ門トンネルは2022年12月に開通。溜池交差点から豊洲市場前交差点までの所要時間は31分から11分に短縮され、晴海通りの交通量が約2割減少し、渋滞が緩和された。
しかし、外国人観光客の増加などもあり、年々交通量は増加傾向にあり、2024年8月は、1日約3万4000台の通行があり、2023年に比べ約9000台も増加した。
また、地域住民が利用するBRT(バス高速輸送システム)も、このトンネルを活用して臨海部と都心部を結んでいる。さらに、側道部の歩道も早く整備してほしいとの声もあり、2024年9月には歩道の整備も完了した。
臨海部では、晴海に大規模なマンション群が出現したほか、築地市場跡地も再開発が計画されるなど、築地虎ノ門トンネルの需要はますます増えると予想される。
築地市場跡地が再開発された場合、現在は封鎖されている築地換気所前の転回路(Uターンできる道路)が利用可能になる予定でさらに利用しやくすなるという。
ところで、トンネルの地理的な要因で発生しやすい落下物のトラブルがある、とお伝えしたが、その答えは「魚の運搬用の箱」だ。
豊洲市場に向かうトラックの利用が多く、魚が積んだ状態であれば重いので落下しないが、魚を降ろしたあと、軽くなった箱がまれにトンネル内で落下するケースがあるそうだ。
ただ、指令センターで24時間監視しているため、すぐに係員が落下物を回収し、大きなトラブルに至ったケースはないということだ。
(フジテレビ社会部 大塚隆広)