僕の推し師弟は、深浦康市(ふかうら・こういち)九段と佐々木大地(ささき・だいち)七段の師弟関係です。
佐々木七段は子供の頃難病を患っていて、酸素ボンベをチューブで鼻につなぎ深浦九段に弟子入りを志願しに行ったといいます。
将棋は長時間に及ぶ対局が多いので、実は体力勝負の競技です。闘病の支えが将棋だという少年を弟子にするということは、深浦九段にとっても相当な覚悟でした。
師弟でSNSの共同運営も
そんな佐々木七段がまだ奨励会の修行時代、成績不振で二段から初段に降段してしまう危機に陥ったことがあります。
棋士になる人で奨励会で降段を経験する人はほぼいないというジンクスがあり、彼にはものすごいプレッシャーがかかっていました。
そんな中、師匠から連絡が入ります。
「将棋を指そう」
師匠の深浦九段はプロ目前の三段になるまで弟子と将棋は指さないと決めていましたが、伸び悩む弟子に手を差し伸べたのです。
佐々木七段はそこで将棋を教えてもらったことがとても嬉しくて、そこから棋士となる四段昇段までの勢いとなる8連勝をしたという話があります。
この2人はなんとX(旧Twitter)で共同アカウントを運営しています。その名も「深浦一門」。
弟子がタイトル戦の挑戦者になると「やったぜ、師匠!(弟子)」というポストをします。なんとも愛らしい関係です。ぜひフォローしてみてください。
同世代での切磋琢磨も魅力
そして2つ目の繋がりが、「世代」です。
小学生の頃から奨励会で切磋琢磨してきた同世代は永遠のライバルであり、最高の仲間です。そもそも奨励会に受かる時点で地元では天才少年です。
そこからさらにしのぎを削り努力を続けた大天才のみが棋士になれるわけです。その苦楽を共にした同世代は、どう転んでも関わりが深くなるでしょう。
将棋以外でも松坂世代、大谷世代、辻・加護世代(元モーニング娘。で筆者と同学年)など世代で括られることはありますが、その世代の一人が調子を上げて好成績を残すと、他の同世代も対抗心から調子が上がっていくことはよくあります。