スペイン・バレンシア州で29日、記録的な豪雨による洪水が発生し、95人が死亡した。8時間で1年分の雨を記録し、リゾート地が広範囲で浸水し、スペインのチームに所属する久保建英選手の試合も延期となった。31日まで雨が続く恐れがることから、当局は警戒を呼びかけている。
激しい濁流が押し寄せ…救助活動の一部始終
スペイン・バレンシアで29日、救助隊のヘリコプターの下に広がっていたのは、一面が茶色く濁った冠水エリアだ。
この記事の画像(12枚)水の高さは救助に向かう隊員の腰の辺りにまで達し、その先では動けなくなったトラックが止まっているのが分かる。激しい濁流が押し寄せる現場では、流れの中に取り残されていた人がギリギリのところで助け出されていた。
同じく29日、スペイン・バレンシア ウティエルの冠水現場でカメラが捉えたのは、下半身が水に浸かった状態で犬を抱き抱える人の姿だ。やがて救助隊によって、犬と共に上空のヘリコプターへと吊り上げられた。
大規模な洪水に見舞われたのは、スペイン東部のバレンシア州で、29日からの記録的な豪雨により、スペイン有数のリゾート地が広い範囲で水に浸かった。
スペイン・エルエヒドでは28日、冠水した道路を走行する車のドライバーが、街の様子を見て「見てみて、これはひどい」とつぶやく映像もあった。
この豪雨により3つの州で95人が死亡した。場所によっては、わずか8時間で1年分に相当する雨が降った。
店のある建物に水が流れ込み、命からがら避難したというバレンシアのパン店・店主は30日、「既に肩まで水が来ていたから上に避難し、一晩中外を見張っていた」と当時の状況を語った。無事助かった男性は、女性と熱い抱擁を交わしていた。
広がる被害と生活への影響…久保建英選手の試合も延期に
100人近くが犠牲となった記録的豪雨を、地元メディアは「今世紀最大の洪水」と報じている。
バレンシア州にある大型家具店「イケア」で撮影された映像では、豪雨によってフロア一面が冠水しエスカレーターで降りるに降りられない人の姿も見られた。
ウクライナから来たという女性は、自分の車も含めて駐車場の車は全て水没したため、子どもを抱きながら歩いて家に帰ったという。
スペインで活躍する久保建英(23)選手が所属する、レアル・ソシエダの試合も延期となった。 雨は31日まで続く恐れがあることから、当局は警戒を呼びかけている。
(「イット!」10月31日放送より)
スペイン東部バレンシア州当局は31日までに死者が155人にのぼったと発表した(11月1日更新)