進化したカラオケシステムが介護現場に革命を起こしつつある。単なる娯楽を超え、高齢者の健康維持から施設運営の効率化まで、多岐にわたる課題解決の可能性を秘めているのだ。カラオケが切り開く新しい介護のカタチを探る。
歌う喜びが生み出す笑顔の連鎖
愛媛・松山市でデイサービスを提供する「気楽」では、カラオケは圧倒的な人気を誇るレクリエーションだ。

デイサービス気楽の山内英仁代表理事は、カラオケ機器の魅力について「歌うだけじゃなくて、石原裕次郎さんとか昔の美空ひばりさんとか、そういう往年のスターが出るだけでキャーとか喜んでくれる。僕たちじゃ到底できないことなんですねこれは。だからこれはすごいなとその時に思いました。映像の力と音楽の力、両方ミックスしてすごく助かっております」と語った。

利用者の女性は、「楽しい。歌はいいわ。声は出しよらんといかんと思って、一生懸命歌ってます」と楽しそうに話す。
歌うことは心身の健康維持に効果があるといわれており、別の男性利用者も「元気になるいうたらいかんけども、すっきりするね。歌ったらね、これが一番じゃないかな」と語った。
多機能カラオケの新たな可能性
12年前の開業に合わせて導入したこのカラオケ機器は、ただのカラオケではない。

大手通信カラオケメーカーが大学などの研究機関とタッグを組み開発したもので、歌だけでなく、クイズや体操など様々なレクリエーションプログラムが組み込まれている。
施設職員の東恵さんは、機器の多様な活用法について「大きな行事があった時なんかは、ビンゴゲームとか使わせて頂いているんですよ。私たちの負担も減るし、職員もネタがなくてすごい頼るところもあるんですけど、すごい助かります」と語った。

中でも特に役立っているのが個別機能訓練だ。要介護認定を受けた利用者を対象に、立つ・座る・歩くなど生活に欠かせない機能の維持や改善を目的としたものだ。介護保険が適用され、施設にとっては収益向上につながる。
理学療法士の山内真理子さんは、このプログラムの利点について「具体的に室内移動であったり、着脱動作であったり、細かく分かれていて、運動指導に慣れていない看護師の方でもプログラム通りにやっていただければ、効果の高いものが提供できると思う」と説明した。

映像と音楽に合わせて体を動かすことで、楽しみながら運動できると利用者の反応も上々だ。ある女性利用者は「このごろあんまり外に出ないでしょ。コロナからそれが習慣になってしまってね。生きてる間は足が動かないとつまらない」と語った。
業務効率化で手厚いケアが可能に
この機器の真価は、利用者の楽しみや健康維持だけでなく、施設運営の効率化にも現れている。機器と連携したソフトを使うことで、介護報酬の算定や訓練計画の作成など事務処理にかかっていた時間が、それまでの5分の1程度にまで軽減できたという。

こちらの施設では、プログラムを積極的に活用することで、利用者に対しこれまで以上に手厚いケアができるようになったという。山内英仁代表は「最初は(機械に)任せてしまってどうだろうとか思ってたんですけど、職員一人一人の仕事も楽になっておりますし、余裕ができるといいますかね。それだけ助けられてるなと実感します」と語った。
利用者にとっても職員にとってもプラスになる、新しいカラオケのカタチ。深刻な人手不足が続く業界で、新たな取り組みが進んでいる。
(テレビ愛媛)