10月27日に投開票された衆議院議員選挙。新潟県は小選挙区が6から5に変わり、初めての選挙となった。注目の結果は、新潟1区~新潟5区まで全て立憲民主党の候補が勝利。自民党は2009年の政権交代時の衆院選以来の全敗を喫した。田中角栄元首相を輩出し、かつては保守王国だった新潟でなぜ自民党が大敗したのか…その要因について分析した。
見捨てられた? 石破首相来県せず…
新潟県内5つの小選挙区すべてで敗れた自民党。比例復活を果たせたのは1人のみとなり、選挙前に7人いた自民党の衆院議員は2人に減った。
今回の選挙の行方を大きく左右したのは、なんと言っても自民党の政治資金問題だ。
この記事の画像(7枚)派閥のキックバックが政治収支報告書に記載されていなかったこの問題は、有権者の政治不信を生み、自民党のイメージは大きく下がった。
新潟は毎回、重点選挙区として多くの大物議員が応援のため来県するが、今回、党本部は「重点選挙区」から新潟を除外。前回、岸田首相は最終盤に県内入りしたが、今回、石破首相は県内入りしなかった。
政治とカネ影響する中…非公認候補に2000万円支給
政治とカネがどれほど投票行動に影響があったのか…NSTは県内6か所で今回の選挙の争点などを調査。
その結果、選挙の争点として一番多くあがったのが、「政治とカネ」と「経済対策」で同数の約34%となった。
また、裏金問題や旧統一教会の問題が投票に影響があったかの問いについては、「影響があり、投票先を変えた」が26%、「影響があったが、投票先を変えなかった」が30%と「影響があった」と答えた人が半数を超えた。
自民党の候補は終始、この「政治とカネ」への釈明や火消しに奔走する選挙戦となった。
ただ、選挙戦序盤の劣勢から盛り返してきた選挙区もあったが、党本部が非公認候補の政党支部に2000万円を支給していた問題で逆風はさらに強まり、無党派層だけでなく、自民党支持層も離れる結果に。
最終盤にも盛り上がりは見られず、陣営によっては半ば諦めムードも漂っていた。
自民党関係者からは「2000万円問題でとどめを刺された」などの話も聞かれた。
立憲の勝因に“野党共闘” 4区では“保守分裂”も
一方で、立憲側は与野党対決の構図に持ち込めたことが勝因の一つと言える。
立憲民主党の野田代表は共産党とは連携しないことを明言していたが、新潟県内では「新潟方式の野党共闘」を築いてきた背景もあり、共産党が候補者を擁立したのは1区のみ。
この1区でも、党の目標である「比例」での議席奪還を中心に訴えたため、西村氏への影響は最小限に。
出口調査の結果でも2区~5区では共産党支持層の7割~8割が立憲の候補に投票していた。
一方で4区については、自民党の泉田氏が無所属で出馬したことでの保守分裂の影響は否めない。
泉田氏は当初「野党票も取るのでは」と見られていたが、泉田氏に投票した人の立憲支持層は1割ほど、自民党支持層は4割ほどとなった。
結果、鷲尾氏は比例復活できず、米山氏が漁夫の利を得た形となった。
自民党県連は今回、小選挙区で全敗した事実をどう受け止め、再出発を図るのか。2025年の夏には参院選も控えているため、県連の建て直しは急務だ。
(NST新潟総合テレビ)