電源が入らなくなっていた『ガラケー』が復活。そこに入っていた数々の写真。あの頃、どんな写真を撮っていた?眠っていたガラケーを蘇らせるサービスを取材した。
再起動可能なガラケーは半分ほど
取材班が訪れたのは北九州市八幡西区のスマートフォン販売店。この店では起動しなくなったガラケーを再起動させる九州でも珍しいサービスを月に1回、無料で行っている。販売員の増田愛里さんは「ガラケー限定ですが、懐かしい時間に触れて頂きたい」と話す。

古くなり電源が入らなくなった主な原因はバッテリーの劣化。店では、特殊な機械で一時的にバッテリーを復活させる。ちなみに持ち込まれた携帯電話が復活する確率は、50%ほどだという。

13年前にプリクラで撮った3姉妹
早速、依頼者が訪れた。生後6か月の赤ちゃんを抱えた30代のお母さんだ。15年以上前に使用していた白いガラケーを持参していた。

まずバッテリーを5分ほど充電し、ガラケーにセット。電源ボタンを長押しすると電源が入った。息を吹き返したガラケー。そこには幾枚もの思い出の写真が並んでいた。

復活したガラケーの中の写真を数枚に限り印刷できる。依頼者が印刷をリクエストした写真は「妹たちと出かけたときに撮ったプリクラ。2011年ですね13年前」だという。当時全員が学生だった3姉妹。現在はそれぞれ結婚し子どももいる。「妹たちにも見せてみようと思う」と依頼者は嬉しそうに写真を眺めていた。
「まるで家族みたいだった…」
続いて訪れたのは、福岡市内から2時間かけてやって来た男性。持参したガラケーは奥様が使っていたという。充電するとガラケーの起動音楽が鳴った。「おー、動いたね」と喜ぶ男性。印刷してもらった写真には、当時飼っていた猫が写っていた。

「2003年頃ですね。捨て猫だったので名前は『ステ』。子どもたちが動物に慣れたきっかけがこの猫だった」と話す男性。写真はこのガラケーにしか残っていないという。

子どもたちと一緒に育ってきた猫の『ステ』。男性が単身赴任で家を離れている間、家族を癒してくれた猫だった。可愛い姿が蘇り「家族みたいだった」と男性は写真をじっと眺めていた。

昼も夜も働いていたあの頃
接客業をしている50代の女性が持参したのは、自身が10年以上前に使っていたというガラケー。いったいどんな写真が残されていたのか?「下の娘の初めてのアルバイトの写真。制服姿で、高1で、初めてのバイトのユニフォームで撮ったやつ」と話す。

そしてもう1枚、印刷に選んだ写真は、パートで働いていた当時の自分の写真だった。「上の子が大学で、下の子が高校で…。ダブルワークできつかったんですけど」と話し女性。昼も夜も働いていたあの頃の自分を褒めてあげたいとこの写真を選んだという。

「2人とも社会人になって。上の子は結婚して幸せになってくれているので良かったなと思います」と当時を振り返り、改めて今を写真の中に見詰めていた。
亡き母親が撮ったわずか4枚の写真
「亡くなった母のものがあったので」と続いての依頼者は15年ほど前のガラケーを復活させたいという60代の女性。亡くなった母親が使っていたというガラケー。再起動し、確認したが写真フォルダには4枚しか入っていなかった。

印刷してもらった1枚は男性の写真だった。「父の葬儀のときの写真です。母は撮り方とか、よく分かっていなかったみたいで…。母がこういう写真を撮っていたとは知らなかったので…、蘇るというか…、涙が出ますね、すいません」

ガラケーに残る写真。そこにはさまざまな人々のさまざまな思い出が残されていた。
(テレビ西日本)