プロ17年目。福岡ソフトバンクホークス生え抜きのベテラン、中村晃選手(34)。今シーズンは、西武ライオンズから山川穂高選手が、FA(フリーエージェント)で加入した影響で、主に代打で起用されていたが、シーズン終盤にクリーンアップの一角、5番を打っていた近藤健介選手がケガで離脱してからは、そのまま5番に入り活躍。小久保裕紀監督の期待に応え、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

祝勝会のビールかけを振り返った中村選手は「そんなにはしゃがないでおこうかなと思ったんですけど、いざやってみるとやっぱ楽しいですから、ちょっとはしゃいでしまいました」と笑顔を見せた。
1500試合出場 記憶に残る試合は?
9月15日のオリックスバファローズ戦で1500試合出場を達成した中村選手。思い出に残っている試合を尋ねると「緊張の中、代走からですけれど、そこからスタートしたっていう感じはあります」と1軍初出場の試合を挙げた。2011年5月、当時、現役だった小久保監督が2塁打で出塁した時の代走だった。そこから積み重ねた1500試合だ。また同じ9月には第1子が誕生し、パパに。めでたいことづくしの9月だった。

今シーズンは代打からのスタートとなったが、中村選手は小久保監督とシーズン前に話をしたという。

「キャンプ中、少し監督と話す機会があって、(その時は)『代打だ』とは言われなかったんですけれど、どういう起用法になっても、1軍に必要な戦力だと言っていただけたので、そういう準備をしていました」。
今シーズン初の”送りバント”
リーグ優勝を決めた9月23日。5回の攻撃。この回先頭打者が四球、続く山川選手がヒットでノーアウト2塁1塁の場面。5番、中村選手に出たサインは、今シーズン初となる”送りバント”だった。
「ネクスト(バッターボックス)に行く時に、監督から声を掛けられて、ノーアウト1、2塁になったら“送る”って言われてたので、その瞬間にしっかり準備は、心の準備というのはできていました。あの場面で『もし決まっていなかったら』と思うとゾッとするなという感じもしますけど…」と中村選手は振り返る。

試合を決定付ける場面での、小久保采配に見事に応えた中村選手の今シーズン唯一の送りバント。その後、柳町達選手の2点タイムリーヒットが出て勝利へつながったのだ。
その日の優勝祝勝会で小久保監督は「きょうのポイントは、今年から代打でスタメン出場が少なかった中村晃に今年、初めて出したバントのサイン。ドキドキでした。失敗したら流れが変わるかなと思ったけれど、見事、成功です。そのあと柳町に『絶対打て』と『絶対、晃のバントを無駄にするな』と。で、柳町の2ベースで勝負あった」と開口一番、送りバントの場面を振り返るほどだった。

「ターニングポイントというか、試合の中でのポイントだったと思いますし、そういうところで回ってくるっていうのも、野球って面白いなと思います」と中村選手は語った。
監督から「どっしりとしていてくれ」と
昨シーズンは136試合に出場(585打席)、4年連続ゴールデン・グラブ賞を受賞したレギュラーも控えに回った今シーズンは、打席数も半分以下に(101試合203打席)。背中の痛みで登録抹消された時期もあった。

控えからのスタートについて尋ねると「自分の成績も良くなかったりするので、考えることとかは増えましたけど、それを自分なりにうまくうまく考えてやってきた1年間だったのかなと思います」と中村選手は答えた。

シーズン終盤。スタメン5番を任せられた中村選手。その際、小久保監督からの言葉があったという。「どっしりしてくれればいいからと、監督から言われまして、そこで気持ち的にもすっと入って行けるようにはなりましたけど、よい成績を残している選手がいるのに自分でいいのかなとか考えてしましたけど、監督がそこまで言ってくれるのであれば、どっしりして、しっかりチームのために頑張りたいなという思いはありました」

これからクライマックス・シリーズ、そしてその先の日本シリーズへと続くが、中村選手はこれまで短期決戦では、12本塁打と高い数字を残している。得意な短期決戦への意気込みを聞くと「運もあるので、運をいかに引き寄せられるか、それがしっかりした準備だと思うので、みんなでしっかり準備したいと思ってます」と語った。
(テレビ西日本)