味噌キャラメル味が人気となり、オーストラリアで成功したジェラート店の店主が故郷の静岡県富士宮市でも店を出した。ジェラートを使って地元の農産物の魅力を発信したいと意気込んでいる。
元JA職員が豪州でジェラート店

2024年7月、静岡県富士宮市にオープンした「Shiro DRIVE-IN」。
売りはトウモロコシや落花生など地元の食材を使ったジェラートだ。

代表を務める福原規正さん(36)。
富士宮で生まれ育ち、大学卒業後は地元の農協に就職したが、31歳の時に一念発起し単身オーストラリアへ渡った。
海外に行って日本の文化に触れたことで、「自分も日本の文化を世界に広めたい」と思ったそうだ。
オーストラリアでは露天商として生計を立てていたが、様々な食べ物を販売していく中でジェラートに出会った。

Shiro Gelato & Snack・福原規正 代表:
ジェラートという商材が、どんなものと混ぜても本当にいろいろな食材を輝かせることができる商材だった

ゴールドコーストに店を出すと、日本とオーストラリアの文化を掛け合わせた「味噌キャラメル」味のジェラートがヒットし、ブリスベンに出店した2号店は開店したその月の来店客数が5万人を記録。
地元食材で故郷を盛り上げる

そして2024年、故郷を盛り上げようと満を持して富士宮に戻ってきた。
野菜やフルーツ、お茶など食材は全て富士宮のものを使っている。

抹茶とストロベリーのジェラートを食べた来店客は「最初は組み合わせがちょっとどうかと思ったが とてもおいしい」と驚き、別の来店客も「私も抹茶を食べたが、すごくおいしくて濃厚で、地元の物がこんなにおいしいのはうれしい」と出店を喜ぶ。

会社名のShiroの由来は漢字の「白」。
オーストラリアの店には福原さんを慕うたくさんの仲間が集っていて、そんなスタッフたちがジェラートづくりを学び、「真っ白なキャンパスに自分色の絵を描くように、自由に独立してほしい」という願いが込められているそうだ。
生活の拠点はオーストラリアだが、今はオープンして間もない富士宮店を軌道に乗せることに力を入れる。
牛乳は富士山麓の牧場から

この日はジェラートの要である牛乳を製造している市内の土井ファームへ。
約100頭の乳牛を育てている土井ファームでは、牛舎のすぐそばで採れたトウモロコシをエサにしていて、福原さんは「その乳牛から搾られた生乳はうまみとコクが格別」と評価する。
Shiro Gelato & Snack・福原規正 代表:
実際これは(無加工のため)飲料としては飲むことができず、ジェラートとしてしか使えない牛乳なので、それが1つ魅力。牧場で作られているジェラートと他の工場で作られるラクトアイスといわれるものとは全く違うものにはなるので、それが本当に魅力ですね

土井ファーム・土井智子さん:
とにかく富士宮産にこだわっていて、私たちの知らないところもいろいろ発掘してくれるところがいいところ
老舗の製茶会社も協力

続いて訪れたのは、店の看板商品でもある抹茶を提供してくれている「ヤマサン渡辺製茶」だ。
創業100年以上の老舗で6代目の渡辺勝彦さんとは農協時代からの付き合いだ。
ヤマサン渡辺製茶・渡辺勝彦 社長:
昔からバイタリティがあり、こうと決めたらすぐ行動に移す人だった。富士宮に帰ってきて「農家を盛り上げていきたい」という思い、「富士宮全体を活気づけたい」という気持ちがひしひしと伝わってきたので、自分もぜひともその仲間に入れてもらい一緒に富士宮を盛り上げていきたい
「僕にしかできない伝え方がある」
福原さんは「一度、日本を離れたからこそ気づくことができた魅力が富士宮にはある」と強調する。

Shiro Gelato & Snack・福原規正 代表:
牛乳や野菜など本当にすべての物、人も含めてすべての物が、富士山の麓で育っているのが非常に魅力だということを改めて海外で感じたので、その魅力を中も知っていて、外からも見ることができた僕にしかできない伝え方があるのではないか
ジェラートを通じて地元の農産物の魅力を発信したい。そして、“富士宮ブランド”を確立したい。
福原さんの挑戦は始まったばかりだ。
(テレビ静岡)