日本人2人を含む159人が亡くなった韓国・梨泰院での雑踏事故から2年。
この記事の画像(13枚)責任を問われていた地元の元警察署長に対して、「危険性はあると予測できたのに事故対策を怠った」として、業務上過失致死傷で禁錮3年の有罪判決が下りました。
一方で、自治体トップである区長に言い渡されたのは…「無罪」。
「人の流れを統制、遮断する権限のない行政区に、業務上の注意義務があるとみるのは難しい」とされたのです。
遺族の会 イ・ジョンミン委員長:
159人も死亡したのに無罪があり得るのか!この国の司法府はどこにあるんだ!
判決に納得がいかないと、怒りをあらわにしたのは、遺族会で委員長をつとめるイ・ジョンミンさん。娘を事故で失った遺族の一人です。
遺族の会 イ・ジョンミン委員長:
地元警察と区長の判決は、全く認める事ができません。再び検察が証拠を見つけて、二審で必ずその罪を問いたいと思います。どうしてこんな多くの人の命が犠牲になったのか、ちゃんと調査して、その原因を究明することが我々遺族が持っている最も大きな希望です。
開けられない荷物…いまだ変わらない“喪失感”
当時、韓国に留学中だった娘・芽生さんを失った冨川さん。
事故を風化させないためにと、「めざまし8」の取材に応じてくれました。
留学中の娘を亡くした 冨川歩さん:
望むことと言いますともうですね、犠牲者の命が無駄にならないように、これからも安全な日本と韓国にしてもらいたいっていうのは、前から思っています。
「人災」って認められた時点でやっぱり、今までと変わってきているのかなと思いますし、また、向こうの遺族(韓国)の人たちにね、「一緒に会いましょう」と連絡が来ていますので僕も、もうちょっと落ち着いたら向こうに行って、一緒にお話したりできればなと思います。
判決が出たことで、一区切りがついたものの、娘を失った喪失感は、当時のままだといいます。
留学中の娘を亡くした 冨川歩さん:
あっという間の2年ですね。毎日毎日ですね、娘と向き合ってこうやって生きていますので…。
スマホに入ってる写真とか、一緒にね、娘の写真、思い出がすぐ出てきますんでね。それを見るたびに悲しい気持ちにはなりますし、娘のやりたかったことも、たくさん残したままありますので、もう…私たちも、家族も娘の分も頑張って行くしかないと思いますし。
まだまだ娘の荷物とか、韓国から持ってきたものは、そのままになっているんですよ。開けてみることもできない状態ですんで、開封してもですね。どうなるか、
悲しいのでもう少し落ち着いてから、娘の思い出と共にですね、片付けていきたいなと思っていますけど。
多くの人の命を奪った梨泰院の雑踏事故。韓国の法律に詳しい専門家は、区長の無罪は妥当だとする一方で、元署長の禁錮3年という判決に対しては、「最低限の量刑」だと指摘します。
高初輔 弁護士:
群衆事故ということを、法律の中での一つの災害の形態として、認定していなかったというような。いわばこういう事故に対する、社会的な認識が非常に低かったということが、やっぱり数字になって表れたのかなと。
被害者の人数も含めて、この事故の大きさ、社会的な影響、こういったことから考えると、3年というのは実刑とはいえ、ちょっと低いかなという感じはしますね。
かつては人気観光地だった梨泰院。事故以降、暗い影に包まれています。
梨泰院で店を7年営む店主:
梨泰院には人が全然来ないんです。政府は何もしてくれません。
梨泰院で店を構える店主:
観光客から電話で、「行っても安全ですか?」という問い合わせが多くて大変です。
梨泰院の商会では、今年もハロウィーンを自粛していますし、ほとんどの行事を自粛しました。
(「めざまし8」10月3日放送より)