9人による選挙を経て自民党の新総裁に就任した、石破茂氏。
9月30日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、その人柄について、石破氏を取材して20年のジャーナリスト・鈴木哲夫さんが、その人物像を語った。
■妻・佳子さんは大学時代の「マドンナ」的存在 「生き方が気に入らない」と一度フラれる

石破氏を長年支えてきたのが、妻の佳子さんだ。総裁選を見守り、涙を流していたのも非常に印象的だった。石破氏と妻・佳子さんは慶応大学法学部の同級生で、「マドンナ的存在」だったそう。
鈴木哲夫さんによると、大学を卒業するときに石破氏は、佳子さんに人生で初めての告白をしている。「結婚を前提に付き合って」とアタックしたそうだが、佳子さんはなんと、「あなたの生き方が気に入らない」と言って、撃沈したということだ
石破氏を20年取材 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:完璧にフラれています。卒業のときに、『結婚前提にお付き合いしたい』って言ったら、今の奥様が当時なんて言ったかというと、『あなたは、弁護士になるって言ってたよね』って。『え、銀行(に就職するの)?もう言うこと違うじゃない、もうあなたと付き合いません』って言われて。
■石破氏が「有言実行」約束することで交際・結婚に

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:彼女(石破氏の妻・佳子さん)は、マドンナ的な存在で、もうすごくモテてて。ライバルは多かったと思うけど、僕らだったらこう、スポーツでいいところ見せてとかやるじゃないですか。石破さんはとにかく、勉強でね。その試験で、『こういう問題が出る』っていうのを自分でやって(佳子さんに教えてあげて)。それでうまくいくのかなと思うんですけどね。
そして結婚の決め手となったのは、「ある約束」だったという。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:石破さんのお父さん急に亡くなったんですよ。病気でね。そのときに実は、お父さんの弔電じゃないけれども、電報が彼女から来た。それをきっかけに、また話をするようになって、それで『じゃあ結婚してもいいけれども、とにかくきちんと、筋を通しなさいね』と。『言ったことは、ちゃんと貫く。それを約束してね』と(言った)。それで石破さんが『はい』ということで、2人が(結婚した)。
石破氏が「有言実行する生き方」を約束し、妻・佳子さんは交際を了承、結婚したということだ。
それでは、政治家になるときに、人生が変わるということで、妻・佳子さんが反対することはなかったのだろうか?
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:人生変わるけれども、『じゃあ政治家を本当に、最後までやりきる』とか、『きちんとそこをちゃんとやるんであれば』(反対しない)ってことですよね。
■支援者は「妻・佳子さんのために集まる」とも

そんな妻の佳子さんは、鈴木哲夫さんによると、真面目、誠実、謙虚な姿勢ゆえに「地元人気が抜群」。「いい意味で普通の女性。庶民の感覚や世間の常識というものを、石破さんに対して、常に助言をしてきた」ということだ。
こうして2人はとても仲が良く、「おしどり夫婦」で、休日は石破氏が手料理を佳子さんに振る舞うことも多いそうだ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:筋を通す人だから。会われたらわかりますよ。もう本当にね、普通の真面目な、礼儀正しい、笑顔もあるしね。 選挙は、『あなたがいないんだったら、私がやらなきゃいけないでしょ』って。これも当たり前のように、一生懸命やって。だから今でも集会やると、支援者500人集まって、そのうち250人は奥さんのために来るようなものです。 だから石破さんが、『もう自分の選挙は彼女がやってくれてる』って言っている。これはその通りだと思いますよ。それぐらい(選挙活動を)やる。
■独特の一面「レトルトカレーは混ぜて…」

また鈴木さんは石破氏の人柄について、好物の「カレー」からある一面を明かす。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:自民党の会合なんかでも、自分でカレーをつくって、それで支援者に振る舞ったりとか、やっているんだけど、実は、レトルトカレーの食べ方がちょっと変わっているんですよ。 僕はよくお土産で、(各地の『ご当地』)レトルトカレーあるじゃないですか。それを、3つ、4つ、持って行くんですよ。彼はそれを、「全部混ぜて食べるとおいしい」って言って。
なんと数種類のレトルトカレーを鍋に入れて、混ぜてから食べるという。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:普通の人は、考えられません。だけど混ぜて食べる。それを聞くと『魚介類と豚肉はまずいかな…』とか、こっちはまた買う時に悩むんだけど、ちょっとそういう食べ方。
■酒を飲んで愚痴も 哲夫さん「愚痴は党内のこと?」と聞かれ…

また石破氏は、食事の席でも政策論をかわすことが多いそうだ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:僕は(石破氏と)できる限り、永田町じゃないような、いろいろな人たちと、一緒に会って、会合とかやるけど、やっぱり(話すのは、)その分野、その分野の人の政策論ですよね。 僕のときは結構、愚痴も多かった。その度に、『自分を通すべきじゃないか』みたいな(ことを言う)。割と僕、『主戦論』だから。
ここでスタジオから、「石破氏の愚痴は国会のことですか?それとも党内のことでしたか?」と質問が出ると鈴木さんは…
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:もう、そういうことですね…
■鈴木さんから「原点に返らないと」と指摘も

こう話してきたうえで鈴木さんは、石破氏の今後について、原点に返るべきと指摘した。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:私はやっぱり、石破さんが支持を受けてきたのは、いわゆる自民党に対しても、何に対しても、『きちんと言うべきってことは、言うんだ』と(いうところ)。それから解散については僕の取材にも、やっぱり『自分はとにかく、予算委員会できちんと(野党と議論を)やる』ってことを言ってたんですよ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:それがね、取材すると、『今やるべきだ』っていう、自民党の中に、それこそ重鎮とかがいるんですね。それに押されるような形で、『今なら勝てる』という流れに乗っている感じがあるけど、絶対こんなことやっちゃだめですよ。僕はそう思う。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん: もう1つ僕が気になるのは、経済政策なんですね。(総裁選の)投票の何日か前になって、急に『岸田路線を継承する』って言い出したんですね。 結果を見たら分かるように、岸田さんのところから、例えば決戦投票で表をお願いしてるなんて話ありましたね。これはよく取材しないとわかりません。 だけどそういうバーターとして、『じゃあ政策引き継ぎます』と言ったんだったら、石破さんちょっと違うんじゃないのと。 まず3年間の経済政策を総括して、いいものは引き継ぐけども、そうじゃないものは変える。 総括の経済政策を出さなきゃいけないのに、もう総裁選の前に『継承します』なんて言っちゃったでしょう。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん: そういうところも、つまり石破さんが今まで言ってきたことを、こうやって変えていく。解散日程も変えていく。 僕ね、世論の反発は逆に大きくなると思う。だからそういう意味では、ここでもう一回原点に返らないと、このままこんなふうに流れていくと、危ないなと、僕は正直思います。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2024年9月30日放送)