明治から昭和にかけて描かれた「少女」がテーマの絵画展が高知市で開催されている。今よりも社会的立場が弱かった女性たちの悲しみや怒りなどの感情を巧みに描き出した作品を紹介する。

女性たちの苦悩や生きざまを作品に

高知市の県立美術館で開かれている企画展「発掘された珠玉の名品 少女たち」。

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京都で画廊を営む星野桂三さんが収集した「少女」がテーマの作品、121点が展示されている。

女性が見つめる先には、空を舞うこいのぼり。その背中には人が乗っている。
作者・松村綾子が亡くなった子供をしのんで描いたとみられる絵『薫風』だ。(1943年ごろ)

明治から昭和にかけて描かれた絵は、今よりも社会的立場が弱かった女性たちの苦悩や生きざまを写し出している。

秦テルヲ作『妊みし女の喘ぎ』(1920年ごろ)は、明治末期から大正初期に遊郭で働く女性を描いた作品。

星野さんはこの絵について、「おなかに赤ちゃんがいると思う。はらんだ女の子の理不尽がゆえに喜べない女の人生。女の子の憤りを秦テルヲは描いて、世に知らしめた異色の日本画家」と語る。

苦しそうに体をよじる姿や表情から“産みの苦しみ”が伝わってくる。

「当時の世相・風俗の跡が見られる」

京都で活躍した日本画家甲斐荘楠音の『畜生塚の女』(1919年ごろ)は、非業の死を遂げた女性が描かれている。

1595年、豊臣秀吉は養子・秀次を自害させ、その妻や子供も処刑して三条河原に埋めました。
作者が描いたのは、処刑される直前の女性だ。

星野画廊・星野桂三代表:
なんでこんな目に私あわないといけないのかと、独特の恨みを込めた視線、ひざに手をやる、力が込められた理不尽さを嘆く視線。全てが込められた名作。

激動の時代を懸命に生きた女性たちの喜怒哀楽が繊細に表現されている。

絵を見に来た人は、「当時の世相・風俗の跡が見られて、大変興味深かった」「そのころの生活の感じを見るのが面白い」などと話した。

企画展「発掘された珠玉の名品 少女たち」は、県立美術館で9月22日まで開かれている。

(高知さんさんテレビ)

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