福井・越前市の山あいにある人口約360人の坂口地区。住民らが長年、頭を悩ませてきた“荒れた竹林”から特産品を生み出す取り組みが始まっている。

メンマ特産化へ 2年前から取り組み

同市坂口地区の住民らが特産化に向けて2022年から取り組みを始めているのが、2年かけて商品化にこぎつけたメンマ「竹とり物語」だ。坂口地区がメンマの特産化を進める背景には、地区の長年の課題「荒れた竹林の整備」があった。

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メンマには竹が成長する前の幼竹(ようちく)を使うため、竹林の環境整備を進めながら特産品を作る、という一挙両得の発想からスタートさせたのだ。

地元産の“安心なメンマ”を売り出そう

越前市では2024年から、1人1000円の「森林環境譲与税」を徴収し、メンマの元となる竹林の整備やメンマづくりの資機材の購入に充てている。今後、竹を採取するエリアを広げてメンマの安定した供給量を確保したい考えだ。

2024年はさっそく、タケノコが成長する4月から5月にかけて、地区の20カ所で2.6トンの幼竹を採取した。

そぎ落としてメンマにできる部分を取り出した後、加工過程でも量が減るため、最終的に製品となるのは、採取した幼竹の約2割。下ゆでした後、塩分30%で約3カ月漬け込むなどして約540kg分のメンマが完成した。

国内で流通しているものは99%が外国産ということもあり、地元産の“安心なメンマ”として売り出そうと「竹とり物語」と銘打ち、ブランド化を図る。

坂口メンマ倶楽部事業部長の藤木保男さんは「試行錯誤したが、やっと商品になっていくんだと感慨深いものがある。なんとか売って、次の再生産につなげていきたい」と期待を込める。

市内ではメンマを使った料理開発が進む

2日に越前市内で開かれた試食会では、完成したメンマをトッピングした中華そばが振る舞われ、市長や生産者が味を確かめた。

まるで“麺”だ
まるで“麺”だ

中華そばには長~いメンマがトッピングされ、長さは15cmと通常の2倍以上。中華そばの主役並みの存在感を放っている。

山田市長は「食べ応えがあるし、だしのなじみが良い。地元産なので安心して食べられる」と太鼓判を押した。

市内の武生麺類組合では、このメンマを使った料理の開発を進めている。
越前市三大グルメ「中華そば」「おろしそば」「ボルガライス」に加え、すしなどに合わせたメニューを市内4店舗で提供する。

中華そばのメンマはうどんだしで優しい味に、すしのメンマはかんぴょうのように味をしみ込ませるなど、それぞれの料理に合わせてメンマの調理法を変えている。

「環境整備や地区活性化につながれば」

坂口メンマ倶楽部の藤木さんは「(竹林整備を兼ねてメンマを生産することが)全国に拡大すれば、環境整備にもなるし地区の活性化にもつながり、地域をひっくるめて良い方向へ行くのではないか」と話している。

塩抜き前のメンマは1kg入り2200円、500グラム入り1100円で販売する予定で、9月中旬にも越前市内のスーパーの店頭に並ぶ予定だ。

(福井テレビ)

福井テレビ
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