富士山が大規模噴火した際に、首都圏などへの長時間降灰を予測する「広域降灰予報」の導入が検討されている。報告書では、首都圏で数10cmの火山灰が降り、鉄道や道路の混乱、停電や断水など都市機能への影響が指摘されている。
火山灰で首都圏にも深刻な影響
富士山が大規模に噴火した際、首都圏などに長時間降る火山灰を予測する「広域降灰予報」を導入する検討を始める。

国が2020年に公表した報告書では、富士山が大規模に噴火した場合、首都圏で数10cmの大量の火山灰が降り、鉄道の運行や車の通行が困難となるほか、停電や断水など都市機能に深刻な影響を及ぼすことが指摘されている。

気象庁は現在、火山が噴火した際に「降灰予報」を出しているが、数10cmに及ぶ降灰は想定しておらず、予報期間も6時間先までのみとなっている。
新たな「広域降灰予報」は、長時間にわたる降灰量を予想し、防災対策への活用を目指すが、噴火がどれくらい続くかによって予測が変わるため、詳しい検討が必要だという。
30cmで木造家屋倒壊の可能性も
ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。
青井実キャスター:
富士山は、江戸時代を最後に約300年噴火していませんが、それまでは平均して30年に一回噴火していたということです。リスクに備える動きというのが、広がっているそうです。

立石修解説委員室長:
政府は、こんなシミュレーションも出しています。火山灰が2週間程度降り続いて、西南西の風が多く吹いた場合という条件ですが、山梨から神奈川にかけてのエリアで30cm以上、そして東京から神奈川にかけてのエリアで10cm程度の灰が積もるというふうに予想されています。
青井キャスター:
あくまで想定ですが、かなり影響の範囲は広い印象です。

立石解説委員室長:
30cm灰が積もって、もし雨が降ってきた場合は木造家屋は倒壊する可能性が出てきます。そして、10cm積もれば、大体の自動車はもし雨が降ったりすると、4輪駆動車も含めて走行が不能になってしまいます。電力についても、発電所のフィルターに影響が出て、発電力が低下して停電の恐れが出てきます。
青井キャスター:
我々の生活にも、かなりダメージが来そうですね。
宮司愛海キャスター:
火山灰が降らない地域だと、余計対策が難しいですね。

立石解説委員室長:
2016年、阿蘇山の噴火の際には、熊本市内では1cm〜2cm程度の灰が積もりました。1cmというと少なく感じる方もいるかもしれませんが、町は灰色一色になっていました。
火山灰というのはサラサラしていて、細くて掃除も難しいです。市民の皆さんも非常に苦労している様子で、こういった処理も課題になってきます。
三鷹市で15cm以上、新宿区で10cm以上も…
青井キャスター:
阿蘇山の噴火では1〜2cmですけど、これを上回る灰が降る可能性があるということですね?

立石解説委員室長:
先程のシミュレーションを細かく見ますと、三鷹市で15cm以上、新宿区で10cm以上が想定されています。東京では降灰量が20cm〜30cmの場合は、原則的に屋内に避難し、30cmを超えた場合は、車も走れなくなるので、域外へ避難してくださいと呼びかけています。
青井キャスター:
あくまでもシミュレーションですが、万が一のために覚えておくということも必要ですね。
(「イット!」 9月5日放送より)