兵庫県の斎藤知事をめぐる数々の疑惑の解明は進むのか。

6日、知事が出席する百条委員会のポイントについて、この問題を取材する関西テレビ神戸支局の鈴村菜央記者が解説する。

<“パワハラ”“おおねだり”だけではない、この問題の核心は?>

関西テレビ 鈴村菜央記者:この問題を取材していて問題の核心は、『守られなかった告発者』、『公益通報制度への間違った認識があるのではないか』ということだと考えています。 告発者は覚悟、勇気を持って告発したにも関わらず、処分され、亡くなったという事実は非常に重いと感じています。 県の対応が適切だったのかという部分についてポイントになるのが、『公益通報への間違った認識があったのではないか』ということです。

■“告発文の認識した”次の日には知事が「告発者を特定し処分するように指示」

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公益通報制度とは、組織や企業の中で不正を発見し、それを通報した人物に対し、「通報したことが理由で、解雇や降格など不利益な取り扱いを禁止する」制度で、通報者を守る制度だ。

この公益通報制度への認識が間違っていたのではないかと鈴村記者は指摘する。

改めてこの問題の経緯を確認すると

・3月12日 元幹部職員が告発文を報道機関などに送付。

・3月20日 斎藤知事が「告発文」を把握

・3月21日 斎藤知事が調査を指示

・3月25日 副知事らが元幹部に聴取、公用PCを押収

・4月 4日 元幹部が県の公益通報窓口に通報。

・5月27日 斎藤知事が元幹部を停職3カ月の懲戒処分。

報道機関への告発文の送付は「外部通報」、県の窓口への通報が「内部通報」に当たる。

■知事らに「公益通報としての認識なかった」か

この経緯のなかで、鈴村記者が注目するのは、知事が告発文を把握した直後に「告発者の処分ありき」で調査を指示したことだ。

関西テレビ 鈴村菜央記者:注目してもらいたいのは、知事は3月20日に告発文を把握して、その翌日には副知事などを呼び、調査をするように指示しているということです。 その調査が『告発者の処分ありき』で『内容の真偽については調査されていない』ところです。 関係者によると、百条委員会が行った証人尋問で職員が『知事は告発者を特定し、処分するように指示したものの、告発内容の真偽については調査の指示はなかった』と証言しています。 告発が『公益通報』に当たる可能性があるという認識がなく、告発者探しの違法性を理解していなかったのではないかと考えています。

こういった告発については、透明性の高い外部の機関による調査がなされるべきだという指摘もある中で、兵庫県は内部調査を経て元幹部を懲戒処分としている。

■報道機関への告発文送付は「公益通報」?県側「あたらない」専門家「要件満たす」 

さらに“報道機関への告発”は公益通報にあたるのかどうかということで、県の弁護士と専門家で大きく見解が分かれた。

<兵庫県側>

兵庫県側の内部調査に関わった藤原正広特別弁護士:居酒屋でのうわさ話で真実相当性がない。(5日 百条委員会より)

斎藤知事:法律上保護される公益通報(外部通報)にはあたらない。

<専門家>

公益通報の専門家 上智大学・奥山俊宏教授:公益通報の要件は満たしている、知事らの振る舞いは法に違反する。

県が主張する「真実相当性」があるか、ないか。これは何を意味するのだろうか?

関西テレビ 鈴村菜央記者:真実相当性は、告発する内容を真実だと信じる根拠や理由があるかということですが、これがなければ公益通報にならないとされています。そのため、県は『情報源が分からない噂話では根拠がない』と公益通報にあたらないことを主張していますが、一部事実が含まれていることも明らかになっているので、外部の調査結果も出ていない段階で、『嘘八百』などと言い切った、知事や県の対応に疑義が残ると考えています。

■菊地幸夫弁護士「『知事が握りつぶした』とすら思えるところがある」

県側と専門家で大きく意見が分かれている、この問題について番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士はこのように話す。

菊地幸夫弁護士:真実相当性について、告発内容に真実が含まれているのかどうなのか。100%じゃなくても、例えば8割方が真実なのかどうなのかというのは、知事ご本人が一番知っているはずなんですよね。そういう意味では、これが公益通報の真実相当性という要件を満たしているのか、いないのかは、実は知事は分かっていたのではないかと。そこを専門家は真実相当性もあり、公益通報として要件を満たしてるとおっしゃっていると思います。いまの経過を見てみると、一言で言えば『知事が握りつぶした』と、そういう状況ではないのかなとすら思えるところがあります。

■斎藤知事「調査結果待たずに処分できないか」と発言か 6日知事は何を語る?

関西テレビ 神崎博報道デスク:公益通報に当たるかどうか、専門家は『公益通報に当たる』と話し、県側の弁護士が『当たらない』と言っています。 斎藤知事としては、県側の弁護士の見解に従って、『公益通報に当たらない』という認識で処分したということになります。 相反する話で、見解に相違があるんですよね。最終的な決着は、百条委員会の委員が『どっちの話が妥当なのか』判断するので、それを待ちたい面もあります。

6日の百条委員会には斎藤知事が2度目の出頭となる。 6日のポイントはどこだろうか。

関西テレビ 鈴村菜央記者:これまで斎藤知事は、告発者の処分について『これまでの対応は適切だった』と発言していますが、百条委員会で職員が『知事は調査結果を待たずに処分できないかと言っていた』という証言まで出ています。処分を急いていたのではないのかとも取れるような発言ですが、それ以外について問われても、『百条委員会で説明します』と繰り返していたので、6日はこれらの見解についても、どのような説明があるのかというのに注目したいと思います。

(関西テレビ「newsランナー」2024年9月5日放送)

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