兵庫県の斎藤知事が告発された問題、百条委員会では重要局面を迎えている。
告発者を処分した県に助言した、“影のキーマン”とされる弁護士が出頭。
真相解明の鍵となるのか。
公益通報の専門家 上智大学 奥山俊宏教授:知事らの振る舞いは、公益通報者保護法に違反すると。まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった。
この記事の画像(8枚)ことし3月、元西播磨県民局長は斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発し、翌月には県の公益通報窓口にも通報した。
■「真実相当性ない」県は公益通報としては扱わず 元局長を懲戒処分
当初、斎藤知事は…。
斎藤元彦知事:事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中に嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格です。
「公益通報者保護法」では、通報者への処分を禁止しているが、県は告発内容に「真実相当性がない」として公益通報としては扱わず、ことし5月、元局長を懲戒処分した。
しかし、その後、告発内容の一部が事実であることが判明。
■「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反」と専門家
先週の百条委員会でも、パワハラ行為として記載があった「20メートル歩かされ、叱責した」ことや、「机を叩く」「休日や深夜に幹部にチャット」するなど多くの事実を知事本人が認めた。
公益通報の専門家 上智大学 奥山俊宏教授:告発文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが、今や明らかになってきていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると思います。
専門家が「法律違反」とまで指摘した人事当局の処分は、なぜ実行されたのか。
■人事課の職員から幹部に「公益通報の結果が出るまで、処分を待つべき」と進言が
県が内部調査を進めていたことし4月には、人事課の職員から幹部に対し、「公益通報の結果が出るまで、処分を待つべき」と進言があったことも関係者への取材で明らかになっている。
関係者によると知事は一旦は了承したものの、「調査を待たずに処分できないか弁護士に確認してほしい」と幹部に指示。
県の特別弁護士を務める藤原正広弁護士が「法的に問題ない」と回答したため、元局長は保護されることなく、懲戒処分された。
■内部調査にかかわった藤原弁護士は元局長への処分は法的に問題ないと主張
5日午後の百条委員会には、県の対応を影で支えた“キーマン”とされる藤原弁護士がついたて越しに証人席に立ち、当時の判断は問題なかったか問われた。
内部調査に関わった藤原正広特別弁護士:4月4日に内部通報があったにも関わらず、処分できるかと相談があったことは事実です。懲戒処分対象になるのは3月の文書の配布行為なんです。その後に内部通報があったにしても、あくまで懲戒処分の対象は3月の配布行為で、4月の(内部通報)行為によって影響を受けない。
専門家や一部議員から告発文書の配布も公益通報にあたるのではないかという指摘が出ているが、藤原弁護士は公益通報の保護対象にはあたらず、元局長への処分は法的に問題ないと改めて主張した。
■「県の対応は問題なかった」と斎藤知事
専門家から明確な法律違反と指摘されたことについて知事は…
(Q先ほど専門家が公益通報者保護法違反に該当すると見解示したが受け止めは?)
斎藤知事:百条委員会の内容を拝見してないのでコメントできない。6日の百条委員会の場で調査に対応したい。
(Q公益通報と判断しなかったことは間違ってなかった?)
斎藤知事:県の対応は問題なかった。特別弁護士も法的に問題なかったと確認してますし、県の対応は問題なかった。
6日の証人尋問には、斎藤知事と片山前副知事が出席し、公益通報の認識などについて追及される予定だ。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月5日放送)