兵庫県の斎藤元彦知事によるパワハラ疑惑を調査する百条委員会で、30日午後3時から、知事本人の証人尋問が行われた。
証言を拒んだり虚偽の証言をした場合は、禁錮や罰金刑に処されることもある百条委員会の証人尋問。
本人の口から繰り返し語られた言葉は「記憶がない」だった。
公用車から20メートル歩かされたことで激怒「私の認識が合理的」
パワハラ疑惑が噴出する渦中の斎藤兵庫県知事。
30日午後3時から行われた百条委員会で本人の口から繰り返し語られた言葉は、「記憶がないと言うことはありますけど」、「記憶は正直ありません」、「記憶にないですね」だった。
今回が初めてとなる知事本人が出頭しての尋問では、亡くなった県の元幹部職員が告発文書に記したパワハラ疑惑を中心に、発言が求められた。
また、出張先の施設のエントランスで、自動車進入禁止の場所を歩かされたことで、出迎えた職員らを怒鳴り散らしたとされる一件では…。
質問者:
証人の方からは、かなりきつい言い方だったということですが、そのように認識はありますでしょうか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
それなりに強く指摘をさせていただいたと思います。
“強く指摘した”ということは認める一方で、自身の行動が正当なものだったと主張した。
斎藤元彦・兵庫県知事:
当然、道が続いて職員が奥で2人待ってるんですから、そこは普通に考えると、そこまで車が行くもんだというふうに、私は思うのが自然だと思ってますので。
私は歩かされたことをもって怒ったというのではなくて、円滑な車の進入をきちんと確保してなかったということについての注意をしたということですね。
一方で、車が入れる場所ではないにもかかわらず、職員らを強く𠮟責(しっせき)したことについては、次のように釈明した。
斎藤元彦・兵庫県知事:
その道とエリアが車の進入禁止エリアだということを認識しておりませんでした。ですので、当時の認識としては、私の認識が合理的だというふうに考えておりますね。
公用車から20メートル歩かされたことで激怒した一件について、当時の振る舞いに問題はなかったかと問われた知事。
質問者:
叱責をする前にですね、ここ車入っちゃダメなのとかですね。車は入れないのとか、そういったことを、出迎えた職員に確認をすることはなかったと証言でお聞きしてるんですが。
斎藤元彦・兵庫県知事:
そうですね、会議が始まる直前でもあったので、そんな暇はなかったというふうに自分の中では思ってます。
そのうえで、斎藤知事は、“当時としては”適切な行動だったと繰り返した。
帰り道では車止め外され…「私は一切指示していない」
質問者:
証言では、帰り道では車が実際に車止め外された入り口までつけられていた。知事が怒っていたからと。
斎藤元彦・兵庫県知事:
私は一切指示していませんのでそこは職員の皆さまがいろいろ判断して対応したんだというふうに思います。
質問者:
知事はこの注意があったあとですね、(会見の発言で)コミュニケーションを取りながら注意してやっていこうという趣旨の声をかけたと記憶しているというふうにご発言をされているんですが、叱責をされた方のお話を伺った所ですね、まったく事後的なフォローは、一切なされていないと。それは間違いないということでよろしいでしょうか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
そこは記憶がないということもありますけども。お疲れさまとか、これからも頑張りましょうっていうことは、いろんな機会で言っているというふうに思っています。
「説明を受けていない」などと激しく叱責…「記憶にない」
事前に説明を受けていたにもかかわらず、「説明を受けていない」などと担当者を激しく叱責したとされる件では…。
質問者:
証言通りであれば、かなりこの理不尽な叱責注意ではなかったかというふうに思うんですが。
斎藤元彦・兵庫県知事:
記憶にないですね。何らかの指摘をしたとしても、それは私もですね。正直言いますと、いろんなレクを受けてますから、それを1つ1つ覚えてない。
質問者:
聞いていないというのはわかるんですが、再度説明を求めればいいと思うんですが、聞いていないと言って、そのまま突き返すということがあったというのは事実なんですか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
そんな記憶はありません。
「私も完璧な人間ではない」質問者がたしなめる場面も
自身のパワハラ疑惑について「記憶がない」と、繰り返す斎藤知事。
さらには、次のような発言もあった。
斎藤元彦・兵庫県知事:
私も完璧な人間ではないというところです。なので1回聞いたことをすべて覚えられるかというと、そこはそこまでやっぱり全能ではないと。
質問者:
知事に完璧な人間を求めているのではない。その態度として「そんな知らん」っていうのがまっとうなのか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
それについては反省したいと思います。
休日や深夜にチャット「適切ではなかったという面も」
休日や深夜にもかかわらず、部下への指示など連絡を繰り返していたとされる点については…。
質問者:
特に知事の中で、時間外とか休日に送っているとかそういう意識はあまりない?
斎藤元彦・兵庫県知事:
案件によっては遅い時間、それから休日に送らせていただいたことはあると思います。
質問者:
時間外とか休日にその職員さんに送っているチャットの内容は、知事の認識では重要なもの?
斎藤元彦・兵庫県知事:
(目を見開いて)いいですか一言。やはり重要政策含めて、知事としての報告連絡相談をしっかりしてほしいということを共有してほしいという思いが強かったですね。ただ、休日とか深夜に送ってたということは、やはり適切ではなかったという面もあるかもしれない。
部下らには厳しい規律を求めるという指摘がある一方で、知事自身の“遅刻”に関して問われる場面もあった。
質問者:
知事は送迎の際に、事前に決めた指定の時間にご自身が遅れてくることってありますか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
はい。そういうこともありますね。
質問者:
でもそうなるとですね。ご自身は遅刻してくる。でも部下には指導するって、これなかなかちょっと成立しないんじゃないかなって。
斎藤元彦・兵庫県知事:
いつもいつも遅れてくるっていうわけじゃなくて、遅れることもあるということですね。
質問者:
現時点ではっきりしているのは、ご自身は遅刻することがある。でも部下にも指導する、これ矛盾してますから。
「厳しい上司だと思われていると思います」
さらに委員会では、次のような質問もあった。
質問者:
知事は部下の皆さんに、どういう評価をご自身はされているとお考えですか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
厳しい上司だと思われていると思います。
質問者:
もう少し端的に聞くと、好かれてるか、ちょっと嫌われてる気がするか、そのあたりはどうお考えですか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
それはちょっと分からないですけど。
前西播磨県民局長の停職3カ月処分「適切だった」
そして、公益通報であるかの結論を待たずに告発した元職員を停職3カ月の処分にした件については…。
質問者:
告発文書のパワハラの部分で、仮に真実相当性がなくても、パワハラ相談は受け付けられて、相談所に対する不利益な取り扱いは禁止していると、パワハラ防止法は定めています。
前西播磨県民局長の停職3カ月の処分は不適切であったと、今は認識をお持ちでしょうか。
斎藤元彦・兵庫県知事:
今も思ってはいません。適切だったと思います。
百条委員会の斎藤知事本人への尋問は、来週の9月5日と6日にも行われる予定となっている。
(「イット!」8月30日放送より)