福島・喜多方市のご当地グルメ「喜多方ラーメン」が危機を迎えている。全盛期には約130店舗を誇ったが、高齢化や物価高で約40店が閉店。「喜多方ラーメン」の発祥と言われる有名店が2025年に、101年の歴史に幕を閉じた。
高齢化と物価高で有名店の閉店相次ぐ
しょうゆベースのあっさりスープに、丼を埋め尽くすチャーシュー、特徴的な麺はもちもちの縮れ麺。日本三大ラーメンの一つとされる福島県の「喜多方ラーメン」だ。

イット!取材班:
こちらの通りには、ラーメン屋さんのすぐ隣にまたラーメン屋さんが並んでいます。

福島・喜多方市を訪れる観光客の7割が食べるご当地ラーメンが今、問題に直面している。
11日のランチタイムに喜多方市の「あじ庵食堂」を取材した。
イット!取材班:
喜多方ラーメン屋あじ庵食堂です。外も並んでいて、今お昼の時間帯ですがかなり混んでいます。中を見ますと、お客さんでいっぱいですね。
喜多方ラーメンを提供する店では、お客さんの麺をすする音が響き渡るほどの大盛況となっているのだが…
客:
いつも食べてどこでも同じだけど、喜多方はどこでもおいしいのよ。
地元の人はもちろん、神奈川県から来たという観光客もお目当てはこのラーメンだ。
神奈川県からの観光客:
喜多方ラーメンが食べたくて来たんです。麺もこの太麺が好きなのでおいしいです。

店の定番は、大きく切られた豚バラ肉のチャーシューがこれでもかと入った肉盛りラーメンだ。
あじ庵食堂 店長・江花崇太さん:
多加水麺で中太縮れ麺でスープは豚がベースというのが、やっぱり喜多方ラーメンだと思いますね。

ところが今、ラーメンで有名になった喜多方の街に異変が起きているという。
あじ庵食堂 店長・江花崇太さん:
後継ぎがいなかったりとか、年齢で…。結構肉体労働なので、大変なのでやめちゃうお店とかもやっぱりあるんじゃないですかね。街歩いても全然若い子いないんで。

「喜多方ラーメン」が今、後継者不足に直面している。
市の調査では「将来的に廃業を検討している」あるいは「事業承継についてまだ決めていない」と回答したラーメン店が半数以上に上っている。

1980年代、喜多方は昭和の終わりに朝に食べるラーメンとして注目を集め、全国に朝ラーブームを巻き起こした。

全盛期には市内にラーメン店が約130店舗あり、毎年100万人以上の人がラーメンを食べに来ていたと言われている。
しかし、現在は40店が閉店。約90店に減少してしまった。

その理由のひとつが…

喜多方市・東海林和宏ラーメン課長:
最近老舗といわれるようなお店が高齢化で店を継ぐ方がおらず、有名店が何軒か店をたたむことが起きてきている。
繁盛店でも後継者不在のジレンマ
全国から愛されていた喜多方ラーメンの発祥と言われる「源来軒」。
2025年9月に物価高や作り手の高齢化などを理由に、創業から101年の歴史に幕を下ろした。

繁盛していても、高齢化や後継者がいないことなどを理由に店をたたむケースが相次いでいる。
取材班を出迎えてくれたのは、33年前の1993年にオープンした「くるくる軒」。
自慢の一杯は、透き通るようにあっさりしながらコクの深いスープと縮れた麺との相性が抜群だ。

お昼どきには、座敷までラーメンを食べるお客さんで満席になる人気の店だ。
客:
今日はチャーシュー。おいしいですね。

今年60歳になる店主の佐藤豊文さんは厨房に立ち、ラーメンスープや手作り餃子の仕込みをしている。
自慢のチャーシューを切るのは奥さんのさとみさんだ。娘と息子、パートさんなど、5人で店を切り盛りしている。

平日でも約60人が食べに来る人気店だが、ここでも問題に直面している。
くるくる軒・佐藤豊文さん(59):
うちはうちらの代で終わりじゃないかな。みんな70代80代になってやってる店もあるけど。私らがいつまでできるのか分からないけど。

30年以上、夫婦や子供たちの手伝いなどで続く店だ。店主の佐藤さんは去年、腰を痛め約2カ月入院した。
そして、さらなる問題もある。
くるくる軒・佐藤豊文さん(59):
しょうゆラーメン800円でしょう?これ以上はもう…
取材班:
最近ラーメン一杯1000円が当たり前ですね。
くるくる軒・佐藤豊文さん(59):
そう。ワンコインから1000円。1000円超えはちょっと厳しい。

食材などの物価高騰も直撃している。そして、一番重要な問題は後継者だ。
取材班:
娘さんは?
くるくる軒・佐藤豊文さん(59):
やらないって。息子もいるんだけどやらないって。
くるくる軒・佐藤さとみさん(56):
自分たちの代で終わりかなと思いますけど。

繁盛している店ですら直面する後継者問題だ。
後継者いない店と継ぎたい人のマッチングも
一方で、若者世代は後継者不足に正面から向き合っている。
あじ庵食堂 店長・江花崇太さん:
僕ら世代(若い世代)の人たちが日本三大ラーメンの認知が低いので「すごいんだぞ」という認知度を上げたりとか、僕ら世代の僕らより若い人たちがラーメン屋をやってみたいとなれる環境をもっとつくっていきたいと思います。

日本三大ラーメンの一つ「喜多方ラーメン」が今、直面する後継者不足。
市は、後継者がいない事業者と継ぎたい人をマッチングする取り組みを行っている。

喜多方市・東海林和宏ラーメン課長:
全国で通用するような味でもあるし、よく知っていただいている喜多方ラーメンなので、ますますブランド力に磨きをかけて、昔ながらの味をしっかり残す道筋を作りつつも、いろんな味が好まれるのでいろんな可能性を探って、どんどん拡大していきたいなと思っています。
(「イット!」3月11日放送より)
