価格は「トラックマン」が最低価格で設置費用約1000万円、使用料も年間1000万円と高額なのに対し「ラプソード」は数十万円前後からと安価なため、プロ野球チームだけでなく、選手個人や学校などでも導入が進んでいる。

「ラプソード」は原則として、投手と捕手の間に設置するため、主に練習に使用する。「トラックマン」を導入している球団でも、練習用に「ラプソード」を複数台導入するのが一般的になっている。

ちなみに「トラックマン」も試合用だけでなく、ブルペンなど練習でも使用することができるポータブルの「トラックマン」も開発している。

23年のWBCで星川太輔が侍ジャパンのキャンプや球場に持ち込んだのもポータブルの「トラックマン」だ。

なお、毎年11〜12月に沖縄で行われるジャパンウィンターリーグ(JWL)では試合のデータも録れる「ラプソード・スタジアム」を使用し、試合の投球、打球のデータを計測してオンタイムで公開していた。

ともあれ「トラックマン」と「ラプソード」は競合関係にあるが、同時に試合と練習「ラプソード PR0 3.0」と「ラプソードPITCHING 2.0」の現場での「補完関係」にもあると言える。

2024年4月22日、ラプソードは大谷翔平とテクノロジーアンバサダー契約を結んだと発表した。

大谷はすでにラプソードの「投打同時計測可能デバイス・PRO3.0」を使用して、パフォーマンスの向上に役立ててきた。

ラプソードは今後、パーソナルな測定機器としての市場を拡げていくと思われる。

『データ・ボール アナリストは野球をどう変えたのか』(新潮社新書)

広尾晃
コピーライターなどを経てスポーツライターに。立命館大学卒業。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』『野球崩壊――深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』(ともにイースト・プレス)など

広尾晃
広尾晃

コピーライターなどを経てスポーツライターに。立命館大学卒業。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』『野球崩壊――深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』(ともにイースト・プレス)など