特殊詐欺被害を計5回防いだとして、秋田・横手市のコンビニエンスストアの店長に秋田県警本部長から直々に感謝状が贈られた。店長に地域の安全を守る接客のポイントを聞いた。
県警本部長から“初”の感謝状
8月21日に横手市の横手警察署で行われた贈呈式で、県警察本部の山本哲也本部長から「ローソン横手二葉町店」の東海林和美店長に感謝状が贈られた。

東海林店長は、客への積極的な声かけなどで2019年以降、計5回、特殊詐欺の被害を防いでいる。詐欺被害を防いだとして本部長が感謝状を贈るのは、東海林店長が初めてだ。

ローソン横手二葉町店・東海林和美店長:
ありがたいこと。詐欺自体が良くないことなので、表彰をいただくと「詐欺がはやっている、身近にあるんだな」と感じている。
山本本部長は、東海林店長の行動は「まさに『お客さまを守っている』ということ」だと述べ、「1件でも多く防止してもらえれば県警察としても大変助かるので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます」と感謝を伝えた。
該当する項目がないか一緒に確認
従業員が共通してやっているのが、警察から配布されているチェックシートの活用だ。1万円以上の電子マネーを購入する客には必ず声をかける。
東海林店長に、客役の警察官を相手に、接客の仕方を再現してもらった。

東海林店長「購入金額が1万円以上と高額なため、警察からの指導で、チェックシートに該当する項目があれば教えてください」
チェックシートには「未払金のメールや電話が来た」「電子マネーのカード番号を教えるよう指示された」など、詐欺の代表的な手口が記されている。

客(警察官が再現)「メールが来てですね、払わないといけないお金があるということで」
東海林店長「メールが来てお支払いしないといけないということですと、詐欺の疑いがありますので、最寄りの警察署に一緒に相談してみませんか」

このほか、警察から配布された封筒で詐欺の手口を説明し、「電子マネーを理解しているか」「本当に必要な客層なのか」など、フレンドリーな接客で話を引き出すよう心がけているという。
店長が表彰されたことに常連客も祝福
店の初代オーナーの太田一雄さんは、東海林店長について「すべてにおいて、ものを売るにしても詐欺被害防止にしても頼りになる店長」だと絶賛。「利用客にはお年寄りも多く、その人に合わせた対応をしてくれるので、地域の皆さんも頼りにしていると思う」と話す。

近くにスーパーマーケットがなく、高齢者をはじめ地域住民に欠かせない存在のコンビニ。この日、贈呈式を終えて店に戻った東海林店長を常連客が訪ねてきた。

常連客は「詐欺被害を防いだということで表彰されたそうで、本当におめでとうございます」と東海林店長に花を手渡した。そして「こういう方がいらっしゃるとありがたい。戸惑っているところを店長さんが見つけてくれて大変良いと思います」と話した。

利用客への感謝の気持ちから、「詐欺被害を絶対に防ぎたい」と意気込む東海林店長。「自分たちの声かけが少しでも地域の安全につながればと思う。今後も継続して声かけをしっかりしていきたい」と力強く語った。
(秋田テレビ)