小さな昆虫に大きな夢を見る、有名シェフのサステナブルな挑戦とは?
人々が「おいしい」と口にしているのは、持続可能な食料として世界中で注目を集めているものです。
2024年5月末、アメリカのイリノイ州スプリングフィールドを訪れていたのは、ニューヨークの有名シェフ、ジョセフ・ユンさん。
その目的は、セミです。
2024年、アメリカでは、13年周期のセミと17年周期のセミの羽化が221年ぶりに重なり、大発生。
スプリングフィールドは、両方のセミが確認できる数少ない場所として注目されていました。
イチゴやブルーベリーを摘むかのように、セミを容器に入れていきます。
実は、ユンさんはサスティナビリティーの観点から、昆虫食の“旗振り役”となっているのです。
ユンさんは、「昆虫食はサステナブルだ。従来の家畜よりはるかに少ない資源で済むから。最小限の労力で最大限の成果があげられると考えている」と話します。
昆虫は排出する二酸化炭素が家畜よりも少なく、小さい面積で養殖が可能なことから、持続可能な食料として注目されています。
また、栄養面でも高タンパク・低脂肪で、おいしいとユンさんは強調します。
しかし、昆虫を多くの人に食べてもらうには、なかなかハードルが高いのが現状です。
ユンさんは「人々の認識を変えるため、まずは知ってもらいたい」と考え、7月1日、冒険家や科学者が集まるイベントで、採集したセミをおいしく食べてもらう試食会を開催しました。
料理はなかなかインパクトのある見た目ですが、料理が並んだテーブルの前には早速、行列ができています。
セミのオードブルにセミの天ぷら、一見、セミとは分からないチョコレート&キャラメルがけなど、まさにセミづくしです。
参加者は次々と手に取り、未知の味を体験します。
参加者からは、「どんな味か食べてみるわ。これ好き!おいしい」「(昆虫食は)とても理にかなっていると思う。今もこれまでも、私たちの食やたんぱく質の一部だ」という声が聞かれました。
セミの天ぷらを体験した取材班は、「さくさくしていて虫を食べている感じはまったくありません。ビールのおつまみにもできるぐらい、そのまま食べられます」と話しました。
イベントで出された6品は全てなくなりました。
ユンさんは、目標である「人々の意識を変えること」に手応えを感じたようです。
昆虫食の旗振り役・シェフ ジョセフ・ユンさん:
昆虫を食べるのは“度胸試し”ではない。“食料”として提供する新たな目線です。サスティナビリティーに向けた昆虫農業分野の未来は無限大です。
昆虫食のポテンシャルが食料システムを変える鍵となるか、ユンさんの挑戦は続きます。