スパルタ教育で知られる「戸塚ヨットスクール」創始者の戸塚宏氏が、動画で体罰を肯定する持論を展開し批判が殺到している。
全盛期には100人の訓練生「戸塚ヨットスクール」では死亡事件も
戸塚氏はYouTubeで配信した動画内で、体罰についての持論を展開。
この記事の画像(15枚)「体罰は善なんよ」」「ひっぱたきゃ痛い。痛いのはイヤ。イヤだから頑張る。だから進歩する」などと、体罰を肯定する主張を繰り返した。
戸塚ヨットスクールは1976年に開校した。
厳しい教育方針が不登校の子どもや非行少年の更生などに効果があるとして注目され、全盛期には100人近くの訓練生が在籍していた。
しかし、戸塚氏とコーチらが訓練生に行きすぎた体罰を与え、死亡させるなどの事件が相次ぎ、戸塚氏は懲役6年の刑に服していた。
動画の中で戸塚氏が繰り広げた「体罰に関する持論」は他にもある。
ーー体罰と暴力の違いは?
暴力は自分の利益のためにやるやろ。
体罰は…やられる方の利益のためにやるんだ。
体罰は、進歩を目的とした有形力の行使。
“やられる側の利益”であり、進歩を目的としていれば体罰を加えても良いと主張する戸塚氏は、さらに自身の経験も交え、こう話す。
「俺が小学校の頃だよ。ひっぱたいた先生に向かって『ありがとうございました!』って言ったよ。我ながらびっくりしたよ、あれは。結局、後から考えてみたら、俺を進歩させるために体罰やったなと思えるんや」
運営者「(戸塚氏の)思想を残したい」
今回、戸塚氏が出演したのは戸塚氏を支援する2人のスタッフが立ち上げたYouTubeチャンネル「令和ヨットスクール」だ。
なぜ、この動画を投稿したのか、24歳のチャンネル運営者に聞くと、「戸塚先生だからこそ伝えられるメッセージは、やはり動画として残した方が(世の中に)伝わりやすいっていう風に考えてます。時代に合っていないっていう部分は重々承知の上で、(戸塚氏)の思想を残したいっていう思いもあります」と説明する。
しかし、戸塚氏の“体罰を容認する発言”について、若い世代からは、「(今の時代に)そぐわないと思います。体罰で生まれるものはないと思ってる(30代)」「教え方は他にもある。体罰が正しいとは思わない(10代)」といった否定する声が多かった。
一方で、「体罰があった時代」を経験している年代の人からも、「ビンタとかは当たり前だった。言葉の暴力みたいな…怒号が飛ぶみたいなのは当然あった(50代)」「(体罰は)昭和で終わりかな…。令和・平成でも(体罰は)ないのかなって…(40代)」といった声が聞かれた。
尾木ママ「時代錯誤」
教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんは、体罰は法律で禁止されているとした上で、「体罰というのは今の時代に全くそぐわない。時代錯誤と言えると思います。叱るって言うのはどういうことかというと、説明するってことなんです。叩くのは痛いから、我慢してやめるだけ。それは愛の力でも、“暴力とは違う”という事でもない」と訴えた。
(「イット!」 8月20日放送より)