2024年8月14日、岸田総理が次期総裁選の出馬の見送りを表明し、9月と言われる総裁選への世間の注目が高まっている。
新総裁誕生後には、衆議院の解散総選挙も囁かれていて、県内でも総選挙に向けた動きが活発化している。1区から3区まで概ねの候補者が固まる中、未だ混迷を極めているのが4区における革新勢力、いわゆるオール沖縄側の候補者だ。
オール沖縄勢力側の4区の候補者選考を巡っては、去年から協議が続けられているが、未だに正式な候補者の擁立には至っていない。

初の候補者討論会

選考状況が膠着した状況が続く中、2024年8月4日、糸満市でオール沖縄勢力側の候補者を決める討論会が初めて開催された。
参加したのは、擁立の候補として挙がっている前県議・比嘉京子氏、前豊見城市長・山川仁氏、元那覇市議会議長・金城徹氏で、午後2時から午後4時まで行われ約200人が参加した。
質問に対する各自の回答やクロス討論に対する回答を見ていく。

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<テーマ① 貧困問題・物価高騰対策についてどう取り組むか?>

比嘉京子氏:
消費税の減税もスタート時点の3%へ暫定的に下げるなどあらゆる支援策を講じる必要がある。喫緊の課題として政府はエネルギーと食糧の自給率アップ、貧困の連鎖を断ち切るには、教育格差をなくすこと、その支援をやり続けることが必要

山川仁氏:
積極財政支援と消費税の廃止、コロナ禍での借り入れや返済で倒産も増加しているので事業者を守るための救済措置、併せてインボイス制度の廃止する。介護、医療、保育、学童支援員への給与の大幅に改善し、保育園の給食も、保育料、年齢関係なく無償化。奨学金の借り入れはゼロにする積極的な財政支援を行う

金城徹氏:
家計への直接支援として、中間層世帯を含む、全世帯の6割にインフレ手当として3万円の給付。ガソリン減税のためのトリガー条項を発動し、1リットル当たり25円減税の実現、こども1人あたり5万円の給付。二つ目は事業者向けの電気料金高騰対策として、エネルギー手当の創設、肥料、飼料の高騰対策を拡充。タクシー事業者への支援やバス運転手確保対策など地域交通支援の強化を支援を実現させる

<事前質問② 南西シフトについて>

比嘉京子氏:
国民の理解こそ、最大の国防である。台湾有事は日本有事とか、戦う覚悟を迫る政治家がいますけど、現状の国民保護計画では、住民避難計画を見ると、非現実的。国境に武力を集めることは、戦争のリスクを高めることになる。昨年は、日中友好条約の締結から45周年で岸田首相も上川外務大臣も中国側の代表とメッセージを交換している。外交による平和の構築を目指し、南西諸島の軍備増強に明確に反対する

山川仁氏:
2010年の旧民主党政権時、当時の北沢防衛大臣が防衛大綱の中期防衛力整備計画で南西地域の島しょ部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配備する方針を盛り込み、2016年に与那国島へ警戒監視を掲げての配備からスタートし、着々と今の南西シフトが進められてきました。専守防衛を超えてしまうと標的にされてしまい、台湾有事ありきの港湾や空港の整備は絶対に許すことは出来ない。徹底した平和外交、そして日米同盟は対等で、日本のルールで決めていく

金城徹氏:
平和を希求する県民の思いを第一に、政治に取り組むべきだ。本島、離島における急患輸送や、災害復旧、不発弾処理など自衛隊の役割には評価するが、政府が進める南西諸島における基地建設、部隊の増強は災害救助や住民保護に関係がありません。地域に分断を持ちこみ、住民合意なく有事の際の住民避難も不可能な南西諸島への自衛隊ミサイル基地の強行配備に反対します。遺骨が混じる南部土砂を使用するへ分手間基地の辺野古移設に反対し、日米地位協定の抜本的改定を日米両政府に求める

<候補者同士の討論①>

山川仁氏:
質問)沖縄4区で、どのような政治活動を行ってきたのか?また、金城氏は前回の総選挙で落選したが、どのように敗因を分析しているか?

山川仁氏の質問への回答

比嘉京子氏:
石垣市の出身。4区の課題の一つとして交通網の整備がある。鉄軌道を中心として、南部、糸満あたりまで整備しなければMICEの話も進まない。また、離島においては、県立病院を中心とした医療体制の完結型を目指す。宮古、八重山の県立病院では、地域における完結する医療体制を作るという事をテーマにこれまで取り組んで来た

金城徹氏:
敗因は、私から考えると知名度不足が大きかった。落選後の3年間の取り組みはオール沖縄会議のなかで前回(2022年)の玉城デニー知事の選対事務総長に就き、それに続く那覇市長選挙でも選挙運動を行った。4区は本島南部、そして宮古、八重山も、元々農業が盛んな地域で、しっかり農業を育てて6次産業化を進めて、地域の経済を活性化させていきたい

<候補者同士の討論②>

金城徹氏:
質問)オール沖縄の在り方やこれからの方向性について

金城徹氏の質問への回答

山川仁氏:
オール沖縄という表現は、県民が辺野古新基地を作らせないという思いを持ったみんなが一致団結した総称。マスコミがおもしろおかしく自公対オール沖縄勢力というような表現をしていて、私は政治家としては、フリースタイルで右も左も柔軟にいきながら、県民のためにしっかりとやっていきたい

比嘉京子氏:
オール沖縄の今の状況というのは、今回の県議選挙を見る限り、確かに議席を減らしたという点では衰退したと言われてもしょうがない。しかしながら、中立と野党の得票をまとめて、オール沖縄と比べて見るとオール沖縄が勝っている。今後の方向性としては、俯瞰した見方が出来るまとめ役がの存在が必要ではないか

<候補者同士の討論③>

比嘉京子氏から山川仁氏への質問:
Q:日本の政治に女性の参加が少ない、女性が少ないのはどのようなマイナス面が出るのか?

山川仁氏:
2021年のジェンダーギャップ指数で日本は120位と先進国では最低レベルを示した。女性が居なくなる社会っていうのはあり得ないし、男性社会として作り上げてきた現政権の考え方を変えていかなければいけないので、みんなで協力して政権交代を目指す

山川仁氏から金城徹氏への質問:
Q:オール沖縄の枠組みでは「辺野古移設反対」のワンイシューなのでそれ以外の取り組みも協力してもらえるか?

金城徹氏:
元々オール沖縄は保守や革新が争ってきた中から辺野古についてまとまれるという一点で実現した。現在、政府が一体となって辺野古移設を推し進める強力な圧力を跳ね返すためにオール沖縄で辺野古反対だと言い続けることが大事。辺野古以外の議論については、別の所で議論されるべきで、今持ち込まれると各政党、会派の結束は保てない 

金城徹氏から比嘉京子氏への質問
Q:保育問題の財源確保についての取り組みは?

比嘉京子氏:
去年と一昨年と内閣府や子ども家庭庁などと意見交換をしたが、現場の声がいかに通っていないかを感じた。子供の予算が保険料の拠出金を出しみたり、一般財源から出してみたり、消費税から出しみたりというような、寄せ集め的な財源となっているのが今の国の在り方。現場から国を動かしていきたい

8月決着を目指す

討論会はこのほか、宮古島市や石垣市など、選挙区となる先島諸島でも開かれた。
選考委員会を務める照屋大河県議は、討論会終了後に「8月決着を目指す」と述べ、選挙態勢の構築を急ぎたい考えを示した。
しかし、その一方で、今回の討論会が候補者を決めるものではなく、さらに今後、どのように候補者が決められていくのか現時点では不透明だ。

県民の生活は昨今の物価高によって大きな影響を受けているほか、先島諸島では、自衛隊基地の開設や機能強化など、目まぐるしく変わる安全保障環境の変化に住民たちから不安の声が上がっている。
一方で、中国公船の尖閣諸島海域への領海侵入も相次いでいて、住民たちの安全保障政策を巡る考え方は様々である。
こうしたなか、住民の声を政治に反映させるため、候補者がどのような政策を公約に掲げるかなど、投票先を決めるうえでも重要であり、1本化を目指すのであれば早期の結論が望まれる。

(沖縄テレビ)

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