春夏通じて甲子園初出場ながら埼玉の強豪・花咲徳栄から初勝利を挙げた新潟産大附属ナイン。新潟大会ノーシードから快進撃を続けるチームには、2024年春から外部コーチに就任した長坂陽コーチの存在があった。
選手の兄貴的コーチの存在
埼玉県で2023年秋、2024年春・夏と埼玉大会を全て優勝した花咲徳栄を相手に11安打2得点を挙げ、県勢としては40年ぶりとなる甲子園初出場初勝利を挙げた新潟産大附属ナイン。
この記事の画像(5枚)ロースコアの接戦をものにできた背景には、ノーエラーの堅い守備があった。
その堅い守備をつくってきたのが、2024年春から新潟産大附属の外部コーチに就任した長坂陽コーチだ。現在は県内の高校で非常勤の体育教師を務めながらコーチをしている。
新潟産大附属ナインの練習中には打撃練習の際、選手とともに内野守備に入り、声をかける長坂コーチの姿があった。
平野翔太主将は長坂コーチについて、「色々なことを話しやすい。歳が近いこともあると思うが、相談もできるし、技術面で気になったことを気軽に聞いたりしやすい。『ご飯に連れて行ってください』とか言っている」と笑って話す。
吉野公浩監督も「うちの守備は県大会で3失策。要因は彼。選手たちにとって兄貴的な存在」と、長坂コーチの指導力の高さを評価する。
日本文理の主将として甲子園出場
長坂コーチは柏崎市出身の23歳。中学時代、柏崎リトルシニアに所属し、複数の全国大会を経験。その柏崎リトルシニアで監督をしていたのが吉野監督だった。
吉野監督と長坂コーチは監督とコーチの関係以前に、恩師と教え子の関係なのだ。
高校は日本文理高校に進学し、1年時から遊撃手としての高い守備力などからチームの中心的存在に。3年時にはキャプテンとして、チームを牽引。2年ぶり10回目の甲子園出場に貢献した。
長坂コーチは高校時代を振り返り、「あの頃から指導することに興味はあった。キャプテンとしてみんなにどう動いてもらうか、どういう練習をするか、そういうことをよく考えていた」と話す。
その後は宮城県内の大学に進み、体育を専攻しつつ野球部で活動。「大学でも自分の行けるところまでやろうと思ってやっていたが、そこまでだったというか。自分でやるよりも、教えるほうが得意だとも思った」と大学時代を振り返る。
甲子園初戦はスタンドで見守る
新潟産大付属ナインの甲子園初戦を長坂コーチは選手たちと共にスタンドで見守った。
久しぶりの甲子園を「当たり前だが、現役の時より気持ちが楽」と笑顔を見せつつも、試合中はグラウンドにいる選手たちに時折、力強い激励の言葉をかけていた。
「ただ勝ってほしい。本当にそれだけ。でも終盤でエラーしたら負ける。そこだと思う」
守備の大切さを口にし、見守った甲子園での初戦。
長坂コーチは試合後の荷物移動などのため、試合終了を見届けず、9回表でスタンドを離れたが、その時の表情は選手たちの勝利を信じた兄貴の顔だった。
兄貴と共に甲子園2勝目へ。新潟産大附属ナインの快進撃は続く。
(NST新潟総合テレビ)