長崎県内21市町を巡りながら知られざる街の魅力を発掘し、おすすめのグルメを紹介する。焼き物の町・東彼杵郡波佐見町に、長崎市内から移転したイタリア料理店がこの春オープンした。オーナーは波佐見町の食材にこだわった特別な「カヌレ」を作ろうとしている。
器と料理を楽しめるイタリアン
高台に位置する「La Seconda Casa(ラ セコンダカーザ)」。
この記事の画像(13枚)長崎市内にあった人気のイタリア料理店が2024年3月に東彼・波佐見町に移転オープンした。
ランチはセットメニューで、パスタとチーズリゾット、ピッツァの中から1品選ぶことができる。
この日のパスタはボロネーゼ。仕上げにチーズをたっぷりと散らす。
テレビ長崎 吉井誠アナウンサー:チーズと肉の香りがいい。うま味が深い!肉の存在感があってタマネギの甘味もきいている。チーズが全体をまとめている。コクがあっておいしい。
波佐見は焼き物の町だ。江戸時代から庶民に愛されてきた波佐見焼は、おしゃれなデザインと手ごろな価格が人気だ。ラ セコンダカーザでは、使っている食器はほとんどが波佐見焼。中には窯元に依頼してオリジナルで作ってもらったものも。訪れた客は「料理はもちろん、波佐見焼がすごくオシャレ、形が素敵」と絶賛している。
オーナーの田口さんは「料理と器がどうマッチングするのか、いろんな選択肢があるのが波佐見焼のいいところの一つ」だと話す。
もともと長崎市の滑石地区に店を構えていたが、オープンから10年を機に波佐見への移転を決意した。縁もゆかりもなかったが、町の魅力が田口さんを惹きつけた。
La Seconda Casa 田口寛貴さん:長崎県の中で波佐見町は元気があるイメージがあって、若い人たちがいろいろなことをやっていて、イベントがあるのを長崎市から見ていてすごくおもしろい所と思った。もっと店として自分たちの生活としてステップアップできるのではないかというのはすごく感じていた。
「波佐見カヌレ」に挑戦
田口さんが長崎時代から力を入れているのがフランスの焼き菓子「カヌレ」の製造だ。別ブランドで販売していて、手土産やプレゼントとして人気を集めている。波佐見で棟上げした時は餅と一緒にカヌレも投げたほど、店のシンボル的なスイーツである。
田口さんは波佐見にこだわった特別なカヌレを作ろうとしている。生地に使ったのは波佐見の米粉と地元の酒蔵・今里酒造の六十余州だ。
La Seconda Casa 田口寛貴さん:通常はラムを入れるが、日本酒を入れたらどういう風味が出るかということで使ってみた。想像以上に米の香りがするので菓子作りにはあっていると思う。
地元産の米粉と酒で作る「波佐見カヌレ」。酒の風味のアイシングと油で揚げたごはんのトッピングがアクセントになっている。
田口さんは「外のカリカリと中の柔らかさが特徴」と話す。
KTNアナウンサー:外はカリカリで中はしっとり。しかも焼きおにぎりのような香ばしさがある。米の甘味が引き立たされていると僕は思う。すごくいい相性。揚げたごはん、いい音するじゃないですか
カヌレの完成まであと一歩。8月中に提供を始められるよう仕上げの段階に入っている。田口さんは「全国的にカヌレはあるが、波佐見ならではのカヌレはここにしかないと思うので、今後それが少しずつ広がれば」と今後の展開にワクワクしている。
波佐見を訪れるきっかけになれば
波佐見町では地元産の米粉を使ったメニューを地域全体で開発している。オリジナルの器に入った陶箱クッキーやパウンドケーキ、ベトナムの麺料理「フォー」があり、完成すれば波佐見カヌレもその一つに加わる。波佐見カヌレは店舗限定での提供予定。
田口さんは「波佐見を訪れるきっかけの一つになれば」と話す。ランチはメインディッシュの追加もできる。昼はセットメニューだが、夜はアラカルトに対応している。
田口さんはバリスタの経験があり、コーヒー豆の焙煎やブレンドも行っている。ぜひ食後のコーヒーまで楽しんでほしい。
こんなまちメモ<波佐見町>
長崎県 のほぼ中央、 東彼杵郡北部の内陸部に位置し、長崎県内で海に面していない唯一の自治体である。江戸時代前期からの 陶磁器生産地で、「波佐見焼」 が知られる。
(テレビ長崎)