波しぶきを浴びながら、巨大なマグロにエサをやる。その迫力に思わず歓声が上がる。長崎県・新上五島町の海では、こんな貴重な体験ができるのだ。五島列島の北部に位置するこの町は、豊かな海の恵みを存分に味わえる場所として注目を集めている。

海から島の魅力を体感

新上五島町の魅力を体感するなら、まずは海からのアプローチがおすすめだ。

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GOTO真光クルーズの貸し切り船に乗れば、エメラルドグリーンの海と島々の美しい景色を楽しむことができる。クルーズの大きな魅力は、なんといってもマグロへのエサやり体験だ。体長約1.5メートルものクロマグロが、エサを求めて勢いよく飛び出してくる様子は圧巻だ。

養殖クロマグロのエサやり体験
養殖クロマグロのエサやり体験

この海でのクロマグロ養殖は2008年から始まり、現在では年間600トン以上を水揚げする一大産業となっている。リアス式海岸の地形を活かした養殖は、ブリやハマチなども盛んだ。

クルーズではほかにも、明治時代にキリスト教信徒が隠れていた「キリシタン洞窟」など、島の歴史を物語る場所も巡ることができる。GOTO真光クルーズの大瀬良澄男さんは「年間通しても、この時期は穏やかな気候。太陽が高い分、差し込む光で海の見え方も美しい」と話す。

島の歴史が育んだ名物「五島うどん」

新上五島町の海の恵みといえば、欠かせないのが「五島うどん」だ。

名物「五島うどん」
名物「五島うどん」

その歴史は平安時代にまで遡る。当時、この地は遣唐使の寄港地で、そうめんの製法が伝わったとされている。(諸説あり)

地元で「あご」と呼ばれるトビウオを使った出汁
地元で「あご」と呼ばれるトビウオを使った出汁

五島うどんの特徴は、地元で「あご」と呼ばれるトビウオを使った出汁(だし)にある。また、製造過程でツバキ油を生地に塗ることで、くっつくのを防ぐという独特の手法も用いられている。

海の恵みを存分に味わえる「虎屋」

五島うどんの魅力を存分に味わえる店として人気なのが「虎屋」だ。35年前から五島うどんを製造し、直接、客にうどんを届けたいと5年前に飲食店もオープンさせた。

虎屋の南慎太郎社長は「自慢の麺もそうだが、だしが特徴。目の前の海で獲れたものを使っていて、獲れたものを炭火で焼きあごにして使っています」と語る。

さらに虎屋では、目の前に広がる有川湾の海水から自家製の塩を作っている。この塩は五島うどんのコシや風味を引き出すのに重要な役割を果たしている。

海の塩が引き立てる絶品スイーツ

虎屋では、自慢の塩をスイーツにも活用している。

安納芋を使ったチーズケーキは、2021年度の長崎県特産品新作展で最優秀賞を受賞した逸品だ。このチーズケーキには、塩作りの過程で最初にできる「一番塩」がふりかけられている。普通の塩と比べて粒が大きく透明感があり、甘味とまろやかさが特徴で料理を塩で食べる時にもおすすめだという。

南社長は「新上五島町は空気がきれいで海もきれい。人もいい。いい人が心を込めて作ったおいしいものがたくさんあるので、そういうところも感じながら味わってほしい」と、島の魅力を語る。

新上五島町は、食、歴史、アクティビティと、体全体で島を感じることができる場所だ。大自然に囲まれながら、ゆったりと特別な時間を過ごせる。海の恵みを存分に味わいながら、島の魅力を堪能してみてはいかがだろうか。

(テレビ長崎)

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