7月、世界遺産に登録された「佐渡島の金山」。今後の課題とされているのがその保存や活用方法だ。インドの世界遺産委員会に参加した花角知事は、現地の経済や観光事情から今後の取り組みへのヒントを探った。
インドの世界遺産!観光客訪れる中…地元住民の憩いの場にも
7月にインドで開かれた世界遺産委員会。「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が決定し、参加した関係者は喜びであふれていた。

歴史的な日から一夜明け、首都ニューデリーのこの日の最高気温は38.4℃。湿度も高い中、花角知事たちが視察したのは、世界文化遺産「フマユーン廟」だ。
1570年に建てられた皇帝の墓で、11年前に世界文化遺産として登録された。

この日は観光客が訪れていたのに加え、敷地内の庭園が地元の人の憩いの場ともなっていた。
佐渡市の渡辺竜五市長は「住んでいる人も訪れる人も感動するようなエリアというのが一番大事だと思っている。佐渡の子どもたちも、“こんな施設を守っていこう”と、そういうふうに思えると思うので、そこが一番この世界遺産というのは大事」と話した。

世界遺産の保存「どれだけお金かけるのか…いずれ問題に」
一方で、フマユーン廟には修復課程も展示されていた。「佐渡島の金山」にとっても“保存”は今後の課題の一つだ。

花角知事は「佐渡市も県も文化財保護にどういう、あるいはどれだけのお金をかけていくのかというのは、やっぱりいずれ問題になる。ここは皆さんお金を払って入っているわけだから。やっぱりそういう面では、この遺産を理解してもらうことが大事。内部がどうなっているかということよりも、どういう技術でつくられているのかとか」と話す。

さらに世界遺産登録決定で増加が予想される観光客の受け入れも課題の一つとなっている。
県観光文化スポーツ部の前川翔副部長は「今回世界遺産に登録されて、新潟の観光地に人が増えていくとなったときに宿泊施設とかは人手不足って非常に大きい」と、その課題を口にした。
インド人材獲得・観光客の可能性は…「早めにつながりを」
それでも、世界遺産登録によって世界から注目を浴びることは確かだ。
経済成長が著しく、世界一の人口を誇るインドからの観光客にも期待がかかるが、インドにおけるパスポートの保有者は人口の1割以下と、まだ経済的な格差があるのが現実。

それでも日本政府観光局デリー事務所の文野領所長は「旅行好きが多く、これから伸びる市場」だと話す。
「苗場とか基本的に雄大な自然が写っているコンテンツが非常に受けがいい。伝統文化と自然が渾然一体となっているというようなところに魅力を感じるんだろうなと…」

世界遺産登録で広がる新潟の新たな可能性…。花角知事は「市場としてはこれから。本当にこれからだなというのを実感した。楽しみ。だから早めに新潟県としてつながりをつくっておくことが大事」と話した。
この流れをどうつなぐのか、自治体の手腕が問われている。
(NST新潟総合テレビ)