パリオリンピック・フェンシング競技で、大分県出身の敷根崇裕選手、江村美咲選手、そして上野優佳選手と3選手全員がメダルを獲得する偉業を成し遂げた。
開会式では選手団の旗手を務め、フェンシング女子サーブル団体で初の銅メダルを獲得した大分市出身の江村美咲選手。
その江村美咲選手の父親の江村宏二さんは、かつてフェンシングの選手としてソウルオリンピックに出場、北京オリンピックでは、日本代表の監督を務めた。
今回、江村宏二さんに大会中の美咲選手の様子や、美咲選手への思いなどを聞いた。
個人戦後のスランプ「家族で一回会う時間を」
Q(美咲選手の)メダル獲得おめでとうございます
◆江村宏二さん
やっぱり世界ランキング1位で臨んだオリンピックで、個人戦は自分が思うような試合が出来なかった。その後非常にスランプというか、自分で何をやっていいかが分からなくなったっていうようなことも言っていました。
個人戦が終わって、ずっと選手村にいるので「家族で一回会う時間が作った方がいいかな」と思いまして、選手村からうちのホテルに呼んでホテルの近くのデパートをちょっとぶらぶらしました。
「何食べたいか」って聞いたら韓国料理っていうことを言ってたので、食事をした後は、家族みんなで選手村まで、ゲートまで送り届けて「思いっきりやりなさい」っていうことで送り出しました。

「メダルの色以上の価値がある勝利」
Q団体戦でメダルを獲得したことについてお気持ちは
◆江村宏二さん
やっぱり人生のどん底からこのオリンピック、パリに来ている期間、本当に苦しかったと思うんですね。そういう形で終われたことはすごく嬉しく思っています。
Q試合後のインタビューで美咲選手が「メダルの色以上の価値がある勝利」と話をされていたが、それを聞いてどのように思いましたか
◆江村宏二さん
そうですね、本当にほっとしたんでしょうし、チームみんな、それから監督コーチに本当に感謝の気持ちを持って、そのままの気持ちが出たんだと思います。
娘(美咲選手)からメダルをかけてもらった気持ちは
Q団体戦の後は美咲選手と会ったり、何か会話しましたか?
◆江村宏二さん
会いたいなと思って近くまで行こうとしたんですけど、取材が入っていましたし、何時になるか分からなかった。帰ろうとした時に「今終わった」っていう連絡が妻の方に行って、選手村の外で会って、メダルもかけてくれました。

Qこのオリンピックでのメダルを取る難しさは宏二さんも重々わかっていると思いますが、そんな中で娘さんからかけてもらった銅メダルっていうのは特別だったんじゃないですか?
◆江村宏二さん
そうですね、私も現役時代からそこを目指していた部分もあったので、自分が出来ないことを一つ一つ娘の美咲がワールドカップ、世界選手権で勝っていく姿を見て、本当に自分のことのように嬉しいです。
Q周りの反応などはどうでしたか?
◆江村宏二さん
大分県からは、美咲が小さい頃に行ったケーキ屋さんとか、いろんなところからメッセージも来ました。大分の人に対しては、非常に感謝の気持ちを持っていますし家族で話したんですよ。「大分だけだよね、こんなに離れても大切にしていただいてるのは」と。
4年後のロス五輪は金メダルを目指していく
Q今後の美咲選手にエールをお願いします
◆江村宏二さん
今回のオリンピックは彼女にとって一番大きな経験でした。
日本選手団の顔として旗手を務め開会式も出て、期待されつつ個人戦では3回戦敗退、9位に終わった。
この短い期間ですけど、本当に苦しい期間を乗り越えて、最後に銅メダルを獲得した。
銅メダルで良かったという気持ちがあります。
サーブル自体が日本の歴史上メダルを獲ることなんて無かったので、それを達成したこと。
それからここで金メダルを獲れるよりも、今回のいろんな経験を生かして今から4年間ロス五輪に向けて、金メダルを目指していくと思っている。また引き続き応援いただければと思います。

(テレビ大分)