7月25日~26日の豪雨で、山形・戸沢村の「最上川舟下り」には、11隻の観光船が流される深刻な被害があった。船の捜索を続ける中、1隻は遠く離れた秋田の海岸で見つかっている。残った5隻の船で運航再開する観光船には「少しでもお返しができるように」という思いがあった。
過去最高水位 屋根の上に流木も…
戸沢村にある「最上川舟下り」の出発点。
船着き場では、7月30日も片付けや修復作業が行われていたが、対岸の山は大きく崩れていた。
最上峡芭蕉ライン観光船舶課の三瓶勇係長によると、豪雨によって通路は水没し、水が引くと屋根の上に流木が乗っていたという。
三瓶係長は「過去最高水位です。平成30年8月6日が最高(8.52メートル)だったが、今回は10.57メートル」と、今回の豪雨について語る。
そのときの映像には、観測史上最も高い10.57メートルの水位にまで上昇した船着き場の様子が映っていた。
川岸に係留していた観光船が次々に濁流にのまれ、16隻のうち11隻が下流に流された。
流された船 山形から秋田に漂着
流された船のほとんどは庄内町で見つかったが、「第二十芭蕉丸」が酒田市の河口付近で、そして「第1もがみ丸」は約100km離れた秋田・にかほ市の海岸に漂着していて、発見した漁師が金浦漁港に運び込んだ。
屋根はなく傷だらけだったが、補修すればまだ使える状態だという。
三瓶係長は、かなりの距離を流されたことに驚きつつも、「長いこと迷惑かけられないので回収に行って、なるべく早く持ち帰って修理したい」と話した。
流された11隻のうち2隻がまだ見つかっていないが、雨は峠を越え、川の水位も平常時の1.8メートルまで下がったことから、最上峡芭蕉ライン観光は8月1日から、流されずに残った5隻の船で運航再開することを決めた。
三瓶係長は、「戸沢村はいま非常に大変な状況だが、応援に駆けつけてくれるお客さまに少しでもお返しができるように、船頭が唄を唄うのでぜひ来てください」と呼びかけている。
豪雨災害から8月1日で1週間となるが、復旧に向けた歩みは少しずつ始まっている。
(さくらんぼテレビ)