線状降水帯の発生や二度の特別警報など、7月25日からの大雨で一時孤立状態となった山形・酒田市の大沢地区。う回路は確保されたが、市街地から至る国道は復旧の見通しが立っていない。
地区内には流木などが散乱し、水道や電気も止まったままとなっていて、住民は国道の早期復旧を望んでいる。
大雨で国道損壊…一時孤立状態に
48時間に400mmを超える雨が降り、荒瀬川の氾濫に見舞われた酒田市大沢地区。
水田が水に浸かり、地区を通る国道344号が大きく壊れている。

一時は孤立状態となり自衛隊が徒歩で入って救助活動を行ったが、26日以降は迂回路が確保され孤立状態は解消した。
その大沢地区に28日、FNN取材団も向かった。

大沢地区に入るには、北側から林道を大きく迂回する必要がある。
近づいて見えてきたのは被害を受けた集落の姿。

濁った川の水が勢いよく流れ、橋にさえぎられるように流木が残っていた。そして、不明者の捜索や救助・救援など、それぞれの使命を負った警察や自衛隊が活動していた。
泥にまみれた橋を渡ってきたのは、高齢の女性。男性2人に気遣われながら、慎重に歩みを進め対岸にたどり着いた。
橋を渡ってきた高齢の女性は酒田の大町まで行くそうで、「兄弟の家で1週間ほど世話になる」と言い、集落を離れた。
自宅で避難する夫婦「水もらいに…」
コミュニティセンターには、飲み水をもらいに来た岡部さん夫婦がいた。

岡部さん:
山越えする道が1本通じたので、入って戻ってきたんですけど、普通の水道水も止まっているので水をもらいに来ました。
岡部さんの自宅は、幸い水に浸かる被害はなかった。
しかし、地区では水道の断水が続いていて、岡部さんは市からの給水を飲み水に、別の集落からもらってくる山の水をトイレなどの生活用水として使い、自宅で避難している。

岡部さん:
味噌汁とかであれば何とか。このカセットコンロでお湯を沸かして、それにはこれ(市の給水)を使って。
停電も続き、携帯電話の通信状況も良くない。

岡部さん:
ラジオしかつかないので電池で動かしている。これは市で無償で1軒1軒に配ってくれたラジオですごく助かる。
岡部さん夫婦は、ともに酒田市内に勤めている。孤立状態は解消されたが、市街地に通じる国道の早期復旧が当面の望みだという。

岡部さん:
その道(迂回路)通って来ました?私らはとてもでないが無理。すれ違った時バックしなきゃいけないとなるととてもじゃないが。まず道路(国道344号)通してもらって、その後、電気と水道。
「復旧の方針を立てられない状態」
大沢地区の最も東にある青沢集落に至る道路は、水の力で完全に崩落した。
その青沢集落に住むという遠田歩夢さんは、身を寄せていた市内の友人の家から着替えなどを取りに戻ってきた。

遠田さんは土砂に埋もれた自宅の写真を見せ、「こんな感じっすね。土砂の上を渡って玄関から入った。床はビチャビチャだったので、靴のままでも入れるくらい。不安しかないですね。でも皆同じなので友達もそうですし。まあ頑張るしかないかな」と話した。

山形県の庄内総合支庁は、大沢地区に至る国道344号について「現地での調査を進めているが、雨が落ち着くまで日程など復旧の方針を立てられない状態」としている。
※7月31日午後2時現在、国道344号石田橋・中台橋のう回路が完成し、大沢地区の主要地域へ車の乗り入れができるようになった。
(さくらんぼテレビ)