九州北部で行われている全国高校総体(インターハイ)。二度の心臓手術を乗り越え、400mハードルで大会に出場する広島の高校生がいる。苦難の中で彼をかり立てたのは「走りたい」というまっすぐな思いだった。

中3の時、大好きな陸上を手術で断念

竹中隼人選手(17)。広島・府中町生まれで、府中緑ヶ丘中学校から広島国際学院高校に進学し、2024年の400mハードルでインターハイに出場にする。

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「全国大会に出ること目標にしていましたが、インターハイで戦えると思っていなかったので正直びっくりしています」
そう話す竹中選手には、実力以上に乗り越えなければならない壁があった。中学3年生の時、心臓の病気で2回目の開胸手術を受けたのだ。
竹中選手は当時について、「ちょうどこの時期に手術をすると決まった。陸上が大好きだったので走りたかったんですけど、お医者さんからダメと言われて…」と振り返る。

病名はバルサルバ洞動脈瘤。生まれつき心臓の大動脈弁の付け根部分の壁が薄く、徐々に瘤(こぶ)のように腫れる心臓の病気である。「手術後すぐには声が出なかったので怖かったです。だんだん声が出るようになってホッとしました。手術を受け、陸上に対して思い切り走れるようになったことが良かった」と話す。

「最後は走る競技でインターハイに」

その後、体の負担を考え、走る量の少ない走高跳で陸上競技に復帰。

努力が実を結び、手術から2年後の2023年には走高跳でインターハイに出場した。その年の秋、竹中選手は新たな挑戦を決断。

「最後の大会では、走る競技でインターハイに出たいという思いがあった。身近な競技が400mハードルだったので」と、高校2年生で400mハードルを始めた。陸上競技の短距離種目の中で、最も過酷な競技の1つと言われる400mハードル。これまで2回の心臓手術を受けた彼に健康への不安はなかったのだろうか。
「たまに400mを走っていて心臓が痛くなる時がありますが、お医者さんに聞くと『大丈夫』と言われるので、そこは信じてやっています」と笑顔で話す竹中選手。前向きに捉える強さで苦難を乗り越え、全国大会の切符をつかんだ。

陸上競技の400mハードルに挑む竹中隼人選手
陸上競技の400mハードルに挑む竹中隼人選手

竹中選手は高校生活最後のインターハイに向け、「最後は楽しく終わりたいです。楽しむ中でもやはり全国大会に出たからにはいい記録を出して、準決勝や決勝でも戦える選手になりたいと思っています。タイムは52秒を切って51秒台を出したい」と意気込む。
インターハイ男子400mハードルの予選は7月29日午後1時25分から。苦難を乗り越え、チャレンジする勇姿が夏空をかけ抜ける。

(テレビ新広島)

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