教員不足が深刻だ。佐賀県の公立小中学校では2024年6月時点で、8年連続で“欠員”が出ていて、学校現場は厳しい状況が続いている。こうした中、子供たちのために昼夜を問わず奮闘する教諭に密着した。

朝から宿題の“丸付け”

佐賀・鳥栖市にある鳥栖小学校で5年3組の担任をつとめている大久保鈴乃さん。小学校の教員になって5年目になる。

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この日、午前8時に登校し、すぐに始めたのは前日に終えられなかった宿題の“丸付け”。朝から仕事は山積みだ。

前日に終えられなかった宿題を朝からチェック
前日に終えられなかった宿題を朝からチェック

午前8時25分。
提出物のチェックに追われる中、授業が始まる。

理科の教員が不在…担任が穴埋め

3時間目は「理科」の授業。だが、理科の授業は大久保さんの本来の仕事ではない。

この小学校では、「教科担任制」を導入していて理科には専門の教員がいるのが本来の体制。しかし、現在3人の教員が不足していて、理科の教員が不在の状況。このため担任が授業を行い、その穴を埋めているのだ。

鳥栖小学校の古賀泰伸校長は、「(教員)不足ということはその分、その先生方に代わりをしてもらわないといけない。負担は(教員が)いない分増える。非常にきつい思いをさせている」と厳しい現状を語った。

教員不足による負担増はベテランの教員も実感している。

教員37年目・江上展子さん:
足りていないところを自分たちが少しずつ補充する形になっているので(不足による負担は)大きく感じる。自分がやりたい仕事(クラス管理や授業)以外がいっぱい入ってくる。そういうのが減ってくれたら…

食事は10分…まさに分刻み

給食の時間。大久保さんはわずか10分で食べ終えると、すぐさま漢字ドリルに手を伸ばす。

時刻は午後12時半。大久保さんは「12時40分までの10分間で漢字ドリルの丸付けを終わらせたい」という。
まさに、分刻みのスケジュール。特に、宿題など提出物の確認には常に多くの先生が追われている。

教員1年目・下川果倫さん:
(提出物を)チェックするタイミングがなかなか授業の合間や休み時間だけでは足りない。1日の中の自分がしなければいけないことをする時間が足りないと感じている

授業の後も終わらない仕事

仕事は授業だけではない。
授業が終わり、集団下校。この日は、通学路の安全を確認するため大久保さんも同行した。

授業が終わった後、集団下校にも同行
授業が終わった後、集団下校にも同行

児童が下校した後には職員会議がスタート。授業や学校行事などについて約2時間話し合う。

職員会議が終わると、次はパソコンに向かう。来週の時間割を作るためだ。翌日までに時間割を印刷しなければならない。

退勤するのは午後7時前。帰宅すると、すぐに夕食の準備。

時短のため、おかずは数日分まとめて作っている。

夜に自宅で翌日の授業準備

午後8時半。
大久保さんは、食器を片づけるとテレビを消し、仕事用のカバンから道具を取り出して机に向かう。翌日の授業の準備のためだ。

大久保鈴乃さん:
眠くはなりますね。なるけど授業の準備をしていないと何となく不安になる。できれば学校で終わればいいですけど…

すべては「子どもたちのため」。教員不足で負担が増す中、教員の熱意が教育現場を支えている。

公立小中学校の欠員は8年連続

佐賀県内の公立小中学校では8年連続で「欠員」の状態(2024年6月時点)。2024年度の欠員は小学校で13人、中学校で32人。学校現場は厳しい状況が続いている。

教員11年目・阿部洋介さん:
もっと先生になりたいという人たちが増えて、教員の数が増えて、1つ1つの授業準備をきちんとし、子どもたちと向き合う時間をもっと作れるようになるといいのかなと

“大変な仕事”というイメージが先行

教員不足の背景には、団塊世代の大量退職や特別支援学級の増加など様々な要因があるが、“大変な仕事”というイメージが先行しているのも事実だ。

大久保鈴乃さん:
自分が「小学校の先生になりました」と親戚に言ったときも、絶対第一声は「大変でしょ?大丈夫?」から話が始まる

「毎日小さなやりがいがある」

しかし、教員の仕事にやりがいを感じている人も多い。

大久保さんは「大変なこともあるけど、毎日小さなやりがいがある。小さな喜びが毎日たくさん転がっている。私はやりがいのあるすごくいい仕事だと思う」と笑顔で語った。

「仕事の魅力を伝えていきたい」

鳥栖小学校・古賀泰伸校長:
この仕事の魅力を伝えていきたい。若手の先生をまず笑顔にしたい。楽しそうだという雰囲気を伝えたい。それが子どもに対して伝われば、もしかしたら「先生を目指したい」につながるかなと思っている

(サガテレビ)

サガテレビ
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