熊本地震からの復旧工事が続く熊本城について、城内には何の目的で設置されたのか分かっていない石垣を貫くトンネル『石門』がある。復旧に伴う発掘調査の中でその謎に迫る発見があり、『通路』と『排水路』の痕跡が確認された。

『中之石門』と『外之石門』の謎の石門

天守閣から見て北東側にある石のトンネル『石門』は、江戸時代の絵図にも『中之石門』と『外之石門』の2つの石門が描かれている。

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地震前から公開エリアではなかったため知る人ぞ知る存在で、その設置目的は謎に包まれていた。

熊本地震で崩落した周辺の石垣の回収も終わり、2024年4月から7月にかけて江戸時代の遺構などを確認するための発掘調査を実施。7月2日に現場が報道陣に公開された。

『通路』と『排水路』の機能があったか

中之石門上部の石垣は1967年から68年にかけて積み直しが行われていて、石門の下に、明治から昭和にかけてのいずれかに設置されたとみられる土管の排水路があることは分かっていたが、今回の調査ではさらに掘り進め、江戸時代に造られたとみられる排水溝を発見した。

排水溝は幅45センチから70センチ、深さ20センチから35センチで、中之石門を出たあと東へ直角に曲がり、平櫓方面に向かう。また石門の基礎部分には厚さ60センチの土が入れられていて、築造当時のトンネル内部の高さは約2メートルと、大人が立って歩ける空間が確保されていたことも分かった。

これらのことから石門には少なくとも『通路』と『排水路』の機能が備えられていたことが今回の調査で分かった。

熊本城調査研究センターの網田龍生所長は「築造した目的が何だったかは突き止められるものではないと思いますが、機能として排水の機能、そして通ることも十分できる大きさで造っていますので、通路としての機能もあったと思っていいんじゃないかと思います」と話した。

『通路』は熊本城の非常時の抜け穴?

また、「抜け穴ではない?」という質問に「通路ではあるので非常時には抜け穴にはなったのかもしれないですが、幸い〝非常時〟が起きなかったと思いますので、抜け穴として使われたという歴史的な事実があるわけではないですね」と答えた。

熊本城調査研究センターでは、周囲の安全が確保できないとして石門周辺の一般への公開予定はないということだが、調査の成果についてパンフレット等で情報発信していきたいとしている。

(テレビ熊本)

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