アニメやゲームなどのキャラクターで車をど派手に装飾した“痛車”(いたしゃ)が、6月2日に鳥取・湯梨浜町で開催されたイベントに集結した。イベント会場でオーナーを直撃し、“痛車”の魅力を取材。そこには推しキャラへの惜しみない愛を注ぐオーナーの思いがあふれていた。
この記事の画像(22枚)ド派手に装飾“痛車”17台が集結
ボディいっぱいに、かわいい女の子のイラストやアニメやゲームの「推しキャラ」のド派手なステッカーが貼られている車…いわゆる“痛車”。6月2日に鳥取・湯梨浜町にある中国庭園「燕趙園」で開かれたイベント「第2回はわい東郷痛車フェスティバル」に、全国から17台の“痛車”が勢ぞろいした。
「痛い」とは、ネット用語で「痛々しくて見ていられない」「見ているだけで恥ずかしい」様子のこと。集まった車は、どれもオーナー以外にとってはちょっと気恥ずかしく、街を走るのが少々はばかられる見た目とも言える。
温泉を擬人化「萌えキャラ」を通じた交流がイベントの契機に
このイベントを企画したのは、地元のはわい温泉・東郷温泉旅館組合で、2023年10月に続いて2度目の開催となる。開催のきっかけになったのは、2022年に参加した「温泉むすめ」のプロジェクトだった。
全国の温泉を擬人化したご当地版の「萌えキャラ」で地域を盛り上げる取り組みで、この「温泉むすめ」を通じて他の温泉地と交流する中で、“痛車”イベントの計画が持ち上がったという。
今回のイベントには、県外の温泉むすめをあしらった「痛車」も参加。兵庫・有馬温泉の温泉むすめ「有馬楓花」推しのオーナーを取材すると、そのこだわりが至る所に表れていた。
オーナーの竹原勇樹さんは、「流線形に流れるようなデザインで作っている。ホイールは、温泉ということで『木の桶』」をイメージして製作した」と胸を張る。
さらに内装は「車内で運転してきる時も常にキャラが目に入るように」とセンターコンソールなどにいろいろな表情のキャラのシートが貼られていた。また一番こだわってるというのがボンネットの中で、エンジンカバーにも推しキャラが描かれたシートが貼られていた。
竹原さんは“痛車”の魅力について、「自分の好きなものを周りに表現できるところが一番」だと話し、さらに運転している時に注目されると「運転しながら心の中で優越感に浸れる」と語る。傍目には「痛い車」に見えるが、本人は全く意に介していないようだ。
オーナーの「推しキャラ」愛あふれる“痛車”が続々
人気アニメ「ラブライブ」推しの痛車を展示していた、オーナーの「羽那P」さんにもこだわりのポイントを聞いてみると、「ツインテールとあとネコミミ!かわいいネコミミ!これがもう本当にかわいくて…」と登場キャラの髪形やコスプレへのこだわりを語った。
さらにリア部分の「すごい」デザインにも注目してほしいと説明。リアゲート丸々一枚を使って、キャラクターの全身を入れたイラストも自慢のポイントで、「自分の推しをみんなに見せられるところが痛車の良さ」と話す。
アニメ「リトルバスターズ」をデザインした“痛車”は、ボディだけでなく、車内も推し一色!ボンネットやドアを改造し、内装はピンクにフルペイントするなど1000万円以上の改造費をかけたという豪華な装飾となっている。
来場者からは、「かっこいい」「見ているだけで十分楽しい」「好きなアニメのキャラやVチューバーがいるのでとても満足。サブカルチャーの町として発展してもらいたい」「“温泉むすめ”を初めて知ったので、今度は温泉を巡ってみたい」と好反応。イベントをきっかけとしたお今後の波及効果にも期待が持てそうだ。
「コスプレ」の聖地・湯梨浜を“痛車”の聖地に
イベントを主催した「湯梨浜浮乃会」の岸田篤周会長は、来場者の反応に手応えを感じるとともに、「地域住民と他県からの来場者との交流で相乗効果が生まれていけば」と話す。そして今後は参加台数が増え、地域住民が協力して盛り上げることで、湯梨浜町全体が活性化してほしいと期待感を見せた。
会場となった湯梨浜町の中国庭園「燕趙園」は、すでに「コスプレ」の聖地として一目置かれている存在で、次は“痛車”の聖地として、地域に人を呼び込む「サブカルチャー」の力に期待が寄せられている。
(TSKさんいん中央テレビ)