6月から再び電気料金が値上がりし、過去最高水準となる。物価高も止まらぬ中、街からは悲鳴があがっている。

■再び値上がりする電気料金 「節電には向かない」夏…電気代高くてもエアコンを上手に使って

この記事の画像(12枚)

5月30日、電力大手10社は6月使用分の電気料金を発表。

全社で値上がりとなり、関西電力では、前月から468円増えて、7664円に。1年前と比べるとなんと46%上昇していて、これまでで最も高い水準となった。

ことし4月以降、電気料金は値上がりが続いている。

その要因の1つが、国の補助金の廃止。補助金は、5月使用分からすでに縮小されていたが、6月使用分からは廃止となる。

関西電力 森望社長:競合他社と比べると、料金は低い水準を維持し続けている。昨年から比べると負担が増えていることについては認識していますが、差配できる部分ではありませんので、ご理解いただきたい。

街で話を聞いてみると…。
街の人:何でも上がってる生活しづらい。
街の人:電気代だけと違います。

街の人:いやです。これから夏場はクーラー使うから。多いとき4万5000円くらいかかってる。子どもたちがそれぞれの部屋で(エアコン)かけるから。色んな意味で節約しないとだめかなと思って、ちりつもで。

さらに、気象予報士の片平さんは、ことしは「節電には向かない」夏になってしまう可能性もあると話す。

気象予報士 片平敦さん:ペルーの沖合の海水温が、いつもより低くなるラニーニャ現象が起きていて、日本の近くの空気の流れも、どちらかというと気温が高くなる、暑くなるという方向に。去年の夏は記録的に気温が高い夏だった。それと同じくらいになっても、何らおかしくない状況。電気代が高くなる中で、でも熱中症は心配。やはり命に関わるところでもあるので、エアコンはうまく使っていただきたい。

■電気代が“必須”な事業者は…客の少ない時間帯は店を閉めるなど対応

「電力」が欠かせない、こんな店では悲鳴の声も。

大阪市内で、24時間営業している餃子無人販売店。

業餃業 平山舜さん:電気代が主なランニングコストになってくる。今回の高騰のあおりをすごく受けています。

冷凍庫を常に稼働させる必要がある無人販売店では、電気代の高騰を受け、店舗によっては客の少ない時間帯に店を閉めるなどの、様々な対応を検討しはじめているという。

業餃業 平山舜さん:深夜や早朝はお客さまが少ない傾向にある。エアコンをスマートスイッチを使って温度を調整して。

■生活の知恵で節電する主婦「家族全員で寝る」 専門家は「温度下げずに、まずは強風で」とアドバイス

そんな中、1円でも電気代を抑えようと、奮闘する人もいる。

大阪・堺市に住む大西眞由美さん。夫と、大学生と高校生の娘、愛犬とともに暮らしている。

大西眞由美さん:朝ごはんの時間が多くて、晩ごはんの時間に増える、電気の使用量がIHなので。

大西さんは、電気代の節約のために普段から使用しないエアコンのコンセントを抜いたり、家族の夕食が終わったあとは間接照明の明るさだけで過ごしたり、あらゆる節約術を駆使して生活している。

その甲斐あってか、電気代を見せてもらうと…、
大西眞由美さん:これが5月の電気代で。

(Q.家族4人でこの額なんですか?)
大西眞由美さん:そうです。

なんと、4人家族で5612円。

大西眞由美さん:地球にやさしく生きていきたいと思ってるんですよ。フフフ。

そんな大西さんでも去年の夏の電気代は1万円を超えていて、このままではことしは数千円単位の値上がりとなってしまう。

大西眞由美さん:本当に大きい、どうしたらいけるかなって、めちゃ考えます。エアコンが要だなと思ってて。

電力の使用量が増える夏に向け、大西さんはすでに対策を考えていた。ことしは、夫婦2人が寝ている和室に、娘2人を呼び寄せ、愛犬を含めた家族全員で寝て、エアコンの稼働を1台に抑えるという。

大西眞由美さん:1カ所で寝るのは、決めてます。エアコンの性能に期待ですよね。

節約の専門家からは、エアコンの使用についてこんなアドバイスが。

節約アドバイザー 和田由貴さん:エアコンの設定温度って、1度変えるだけでも、10%ぐらい電気代変わってくる。風量に関しては、強風にしても微風とか弱風にしても、それほど電力に影響はない。設定温度を下げるのではなく、とりあえず強風とかにしてみて、風が強くなれば、ちょっと体感温度下がると思いますので、それでもどうしても暑いってときに、初めて設定温度を下げる。

6月からの値上がりに、「節電に向かない夏」の到来。これまでにない工夫で乗り切る必要がありそうだ。

■「言語道断」と藤井聡教授

電気代の値上がり、背景には補助金の廃止があり、これからエアコンが必要だというタイミングで、廃止の判断をしたことについて、京都大学大学院の藤井聡教授はこのように話した。

京都大学大学院 藤井聡教授:岸田内閣に対して申し上げたいのですが、言語道断です。そもそも岸田政権がなぜ補助金を出していたかというと、物価高で生活が大変苦しい国民のために実質賃金を上げ、しんどい暮らしを支えようということで、電気代の補助金を出していました。普通の国であれば、しっかり賃金が上がってくるとか、生活がずいぶんな楽になってきたことを確認してから、補助金を取りやめるのですが、今回は財源がなくなったからといってやめちゃうんです。

京都大学大学院 藤井聡教授:本来、私たちの暮らしのために減税していたのではなく、とりあえずお金があるから、その分だけやっていたというだけです。しかも6月減税するのに、電気代を上げてって、何のために減税しているのか意味がないですよね。国民の暮らしを第一に考えていないとしか解釈できない、今回の補助金の打ち切りに対して、私は『言語道断』と大きな声で申し上げたいです。

燃料価格が落ち着いてきたという側面もあるということだが…。

関西テレビ 神崎博報道デスク:もともとウクライナ戦争から始まり、円安の影響を受けて資源価格が上がり、なんとか国民の生活を助けようと思って税金を投入してきたのですが、ずっと出すわけにはいかないので、どこかで出口を探さないといけないと。本来だったら、今ぐらいの時期に物価高よりも給料の上がり方が上になって、生活が楽になったというタイミングが『たぶんこの辺だろう』ということで、やめることを決めていたのと、減税も6月から始まるので、この減税のタイミングで『なんとかなるだろう』と手を打ったのですが、皆さんの給料はそれほど上がってなかった。このタイミングで補助金が打ち切りになったという状況ですね。

そのような中で光熱費が上がるという状況だが、過度にエアコンの使用を控えると熱中症になる危険性もありますから、くれぐれも注意してほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年5月31日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。