東京・港区内のカフェで、レジにイスが導入された。
2カ月前から試験的に導入し、スタッフの作業効率や体の負担軽減に役立っているという。
海外では座って接客を行うのが一般的で、日本でもその動きが広がりつつある。

レジに“イス”…効果を実感

店舗で新たな変化を見せつつあるのが、「レジへのイスの導入」だ。
今、接客業で少しずつ広がりを見せている。

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東京・港区の大垣書店麻布台ヒルズ店のカフェのスタッフは、作業をしている最中、イスに腰掛けて作業を行っていた。

このカフェでは、2カ月前からレジにイスを試験的に導入した。
客からの見え方が分からないということもあり、これまで取り入れてこなかったが、ある日こんなことを言われたという。

大垣書店麻布台ヒルズ店・大垣交右副店長は、「ずっとこうやって中腰でしゃべっていた。中腰だとお客さんからもしんどそうに見えるので、大垣さん、なんで座らないんですかということは言われた」と話している。

イスを取り入れた当初、スタッフから戸惑いの声もあったものの、今はイスの効果を実感しているという。

店員は、「休憩なしだと、4時間〜5時間立ち続けていることがある。ふくらはぎとか、ひざとか長い時間立っていると疲れるので、イスに座れるのはありがたいです」と話す。

こちらの店では、カップへのシール貼りといった事務作業は座ったまま作業を行い、さらに、お客さんと会話をしている際もイスに座って接客を行っていた。

利用客は、「あんまり気にしなかった。なるほどなと思う。かまわないと思う」とコメントしている。

「業界の通例」が阻む“イスの設置”

一方、スーパーのレジ打ちなどでは、立ったまま接客を強いられているとして、労働組合の「#座ってちゃダメですかプロジェクト」のメンバーが、厚労省に改善を求める要望書を提出した。

厚労省は、「今後、関係団体などに現状を確認するヒアリングを検討したい」としている。

厚労省の労働安全衛生規則では、「就業中しばしば座ることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない」とされており、イスの設置を義務づけている。

しかし、「業界の通例」という壁が阻み、まだ導入が進んでいないのが現状だ。

一方、イギリスやノルウェー、トルコなどの海外では、イスに座った状態の方が一般的となっている。

日本でもようやく広がり始め、客からは「私が従業員側だったら、座りながらできた方がいいと思うので、すごくいいと思う」と好意的な意見が聞かれた。

「立って接客」から「座って接客」が当たり前になる世の中へ。
働きやすい職場環境は、そう遠くないかもしれない。
(「イット!」 5月29日放送より)

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