観光振興に関する新たな財源として、沖縄県が導入を目指す「宿泊税」について、自治体や観光関連団体は「定率」での徴収を要望した。

定率・定額のどちらを採用するかなど、県は導入に向けて先行地域での調査を行うことにしている。

「定額制」か「定率制」か?

沖縄県は、世界から選ばれる持続可能な観光リゾート地の実現に向けて、2年後の2026年度に「宿泊税」の導入を目指している。ホテルや旅館の宿泊者から税を徴収し、新たな財源として観光政策に活用したい考えである。

宿泊税をめぐっては2019年、県の検討委員会が税率を1人1泊、2万円未満は200円、2万円以上は500円の「定額制」の案をとりまとめた。

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しかし、新型コロナの流行で観光業を取り巻く状況が激変したことから、2023年11月には観光事業者などが宿泊料金の一定の割合を徴収する「定率制」を求める意見書を提出した。

2024年5月15日に開かれた意見交換会には、宿泊税の導入を目指す石垣市や宮古島市、本部町、恩納(おんな)村、北谷(ちゃたん)町の5市町村が参加。定率制が望ましいとの意見で一致した。

渡久地政志 北谷町長:
(沖縄観光の)質を高めていくことを求めなければならないので、民間の皆さんが期待感をもてるような考え方をもとに、宿泊税を導入していただきたいです

また、ホテル事業者や沖縄観光コンベンションビューローも、税負担の公平性や観光の高付加価値化を図れるとして、定率制の導入を強く求めた。

沖縄観光コンベンションビューロー 下地芳郎 会長:
高額の宿泊施設に泊まる方々に対して定率で設定をすることで、宿泊税の税収の期待もできます。インフレの時代にもなってどんどん価格が上がっていきますので、よりわかりやすい公平な制度としては、定率をしていくことが必要だと思います

財政需要が導入の前提に

導入に向けてはまだ課題がある。宿泊税は地方税法に含まれない「法定外目的税」であるため、税収が必要だとする財政需要が導入の前提となる。

沖縄県は4つの柱を掲げ、県民生活と調和した持続可能な観光を実現するための施策に活用する考えだ。

2024年1月の調査では、県と市町村の事業におよそ78億円が必要と試算している。

これを市町村の事業と配分するが、「1対1」の割合が妥当とする沖縄県に対し、市町村は「1対3」を求める意見もあり、今後の議論の焦点となる。

県は2024年6月ごろをめどに導入に向けた素案を取りまとめる方針で、すでに宿泊税を導入している全国の自治体で運用などを調べることにしている。

(沖縄テレビ)

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