スポーツ中のけがで最も多いとされる「足首の捻挫」。春の運動会シーズン、急に運動をして痛めてしまった…という人もいるのでは?この捻挫の治療法が、近年変化してきているという。専門医にその最新ケアについて解説してもらった。

“痛み止め”より大事なこと

関節の靱帯(じんたい)が伸びたり部分的にちぎれたりすることで痛みや腫れが生じる足首の捻挫。

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その治療法は変わってきていて「いまは『ピース&ラブ』」と話すのは、さくら通り整形外科クリニック(福井市)の宇賀治修平院長だ。

宇賀治院長は「以前は休んで冷やして圧迫して、足を上げておくこと(挙上)が大事と言われていたが、もっと大事なことがある」と続ける。それが最新の治療法「PEACE & LOVE」だという。

PEACE & LOVEは9つの治療法の頭文字を合わせたもので、まず「PEACE」は、痛めた直後2~3日の間に行う応急処置だ。

推奨される処置期間は2~3日に変化

まず「PEACE」を解説してもらった。

P(Protection)保護:痛みが強まる動作を避ける
E(Elevation)挙上:足を心臓より上にあげる
C(Compression)圧迫

これまで広く知られていたこの3つの処置のほかに2つが加わった。

A(Avoid anti-inflammatories)抗炎症薬を避ける
E(Education)教育

大きく変わったのは、捻挫直後からの処置期間だ。これまでアイシングや痛み止めの服用を長期間にわたり行うことがあったが、推奨期間は2~3日に変わったという。靭帯の組織の再生に悪い影響を及ぼす可能性があるのが理由とのことだ。

宇賀治医師は、A(Avoid anti-inflmmatories)について「痛み止めは最初の2~3日だけにする。あの薬自体が、組織の再生を阻害するといわれているので、2~3日を過ぎたら飲むのをやめた方が良い」とする。最後のE(Education)は、捻挫に対して正しい知識を持つという意味だ。

痛くない範囲で「負荷」を

続いて「LOVE」についても解説してくれた。

L(Load)負荷
O(Optimism)ポジティブ思考:前向きな思考は治療の重要な役割を担う
V(Vascularisation)血流を増やす有酸素運動
E(Exercise)適度な運動:再生に必要な血流を促し、筋力やバランスなどを回復させる

けがをして2~3日後に必要なのがLoad(負荷)だという。宇賀治医師は「体重をかけることも大事といわれている。体重の刺激が組織の再生に働くので、痛くない範囲で体重をかけてほしい」と話す。

「LOVE」は捻挫をして2~3日後から行う処置だが、痛みが治まらない時はこれらの処置に移る前に病院を受診し、医師と相談の上、適切に行うことが重要だという。

さらに宇賀治院長は「捻挫が厄介なのは、繰り返してしまうこと。1回捻挫すると組織が弱くなるので繰り返してしまう。さらに、捻挫を繰り返し続けると骨の上の軟骨が痛んでしまい、軟骨が破壊されるので、将来的に足首が痛んで歩けなくなってしまう。そこまでいくと手術が必要」と注意を促す。

再発を予防 自宅でもできる2つの対策

では、どのように予防したらよいのか。自宅でもできる対策を聞いた。

「カーフレイズ」
捻挫しやすい人は小指側に体重がかかりやすいので、親指に体重をかけ片足立ちをしながら、かかとを上げ下げする

「アキレス腱伸ばし」
膝を足の指より前に出してアキレス腱を伸ばす

捻挫しやすい人の特徴として、自分の足がどこにあるのかという意識と実際の足の位置がずれていることもあるので、目を閉じて不安定な所に立つトレーニングをすることで、再発の予防にもつながるという。

「捻挫を甘くみるな」と宇賀治医師。「不思議なもので、大事な時に近付くほど捻挫は起きやすい。最後の試合だとか」ということなので、捻挫を正しく知り、日々ケアをすることで“PEACE & LOVE”な毎日を過ごそう。

(福井テレビ)

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