山形・南陽市で計画されていた温泉リゾート開発について、事業を進めて来た会社が会見を開き、「計画の中止」を発表した。建物からアスベストが検出され、撤去費用が想定を大幅に上回ることなどが主な要因としている。
開発事業「延期」から「中止」に
温泉リゾート施設「四季南陽」は、山形市出身の工業デザイナー・奥山清行さんの会社が3年前に閉館した「ハイジアパーク南陽」を南陽市から買い取って開発を進めていたものだ。
この記事の画像(9枚)5月21日に奥山さんと南陽市の白岩孝夫市長がそろって会見を開き、「建物の売買契約の解除」と「リゾート開発の中止」を発表した。
四季南陽・奥山清行代表取締役:
南陽市と本日、旧ハイジアパーク南陽の売買契約解除について合意をいただきました
奥山さんが進めてきた「四季南陽」の整備計画は、旧ハイジアパーク南陽の建物を改修したうえで、ほかにも宿泊施設やレストランを備えた建物を新築し、一帯を整備するというものだった。
当初は、2023年9月の開業を目指していたが、建築資材の高騰や新型コロナの影響でインバウンド需要が見込めないとして、2022年の時点で「開業時期を当初の予定より3年ほど延期する」と発表していた。
今回、計画そのものの「中止」に至った主な理由は、建物からアスベストが検出されたこと。
その撤去に莫大(ばくだい)な費用がかかるとの試算が出たことで、奥山さんは「温泉リゾート開発の継続は不可能」だと判断したという。
南陽市の世界ブランド化 今後は?
四季南陽・奥山清行代表取締役:
ここまで時間がかかってしまったこと、ご期待をいただいた市民の皆さん・メディアの皆さんに心から申し訳ないと思っている
ただし、奥山さんは「南陽市の世界ブランド化を目指す考えは変わらない」として、今後は新たに南陽市と連携協定を結び、さまざまな商品開発の支援や南陽市でデザインに関するイベントを行いたいと話した。
南陽市・白岩孝夫市長:
当初の計画通りに進めることができなかったのは残念。早期に前向きな状況になれるように、奥山さん側と協議を進めていきたい
奥山さんが南陽市から代金1万1000円で買い取っていた旧ハイジアパーク南陽の建物は、今後の市議会で売買契約解除の同意が得られれば、代金と引き換えに市に返還される。市は今後、別の形での建物の活用を模索することになる。
(さくらんぼテレビ)