沖縄市と北中城(きたなかぐすく)村にまたがる、アメリカ軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)のロウワー・プラザ住宅地区。

大型商業施設イオンモール沖縄ライカムに隣接していて、2024年3月に「緑地ひろば」として一般開放された。

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ロウワー・プラザ住宅地区を巡っては、アメリカ軍施設の統合計画で「2024年度またはその後」に返還すると日米で合意しているのだが、なぜ「返還」ではなく一般開放・日米共同使用になったのか?また、緑地ひろばの実態を取材した。

沖縄戦後に米軍の住宅エリアとして整備

約23ヘクタールの広大な敷地を誇るアメリカ軍キャンプ瑞慶覧のロウワー・プラザ住宅地区。

沖縄市と北中城村にまたがるこの場所には戦前、サトウキビ畑が広がるのどかな農村だった。

しかし、戦後、アメリカ軍に土地を強制接収され、102戸の住宅が並ぶエリアへと姿を変えた。

月日が経つにつれ住宅は老朽化し、地権者会によると10年ほど前から建物は使用されていない。

岸田首相が共同使用を表明

2022年。沖縄本土復帰50周年記念式典で岸田首相は、ロウワー・プラザ住宅地区について、返還を前に共同使用すると表明した。

岸田首相:
ロウワー・プラザ住宅地区については返還に先立って、緑地公園として県民のみなさまにご利用いただくことを近く日米間で合意いたします

岸田首相の表明から2年後の2024年3月、老朽化した住宅が解体され「緑地ひろば」として一般開放された。

林官房長官(2024年3月30日):
地元のみなさまの生活の利便性の向上に加え、跡地利用の検討に資する空間と時間を創出するものであり、沖縄の基地負担の軽減の目に見える成果の1つだと考えています

ロウワー・プラザ住宅地区を巡っては、2013年に日米両政府が合意した嘉手納基地より南のアメリカ軍施設の統合計画で、「2024年度またはその後」に返還すると示されている。

日米で「返還」が合意されているのに、なぜ「共同使用」なのだろうか。

沖縄防衛局 森広芳光 企画部長:
キャンプ瑞慶覧にもともとあった住宅がございますので、その機能を移設するという事が前提になっております

沖縄防衛局の担当者は、「返還の条件として、既存の102戸の住宅をキャンプ瑞慶覧の別の場所に移さなければならず、移設が完了するまで日米で共同使用となった」と説明する。

沖縄防衛局は、移設作業を進めているとしているが、完了の時期については明らかにしていない。

沖縄防衛局 森広芳光 企画部長:
どうしても、ある程度の時間がかかってしまうプロセスになるんですけど、そこは早期に進められるように、我々も努力をしているところです

地元の人にも知られていない広場

緑地ひろばにはソフトボール場や遊歩道があり、午前7時から午後7時まで自由に利用できるが、地元の方にもあまり知られていないようだ。

地元住民の男性:
分からなかったですね、入れるとは

地元の高校生:
全然知らなかったです。ボールとか使って友達とサッカーとかいろんなことできそうですね

その要因として考えられるのが…

沖縄テレビ 大城良太アナウンサー:
緑地ひろば入り口のゲートは開放されていますが、そのすぐ横には警告、立ち入り禁止と書かれた看板がいまだに設置されていまして、中に入るのを躊躇(ちゅうちょ)するかもしれません

沖縄防衛局 森広芳光 企画部長:
物々しさを感じられる部分があるのであれば、そういうところは工夫をしていきたいと思っています

いっぽう、ロウワー・プラザの地権者は円滑な跡地利用に向けて早期の返還を求めている。

企業誘致に動きたい地権者会

ロウワー・プラザ住宅地区の地権者会の会長を務めている吉村正夫さんは、「いつ返還され、いつから本格的に利用できるかまだ何も決まっていないので、早くそちらを決めてもらいたい」と切望している。

返還後の跡地利用については、地権者会が主体となって地元自治体などと協議し、企業を誘致していく予定としているのだが進まない実情がある。

地権者会 吉村正夫会長:
結局いつ返還されるのかスケジュールが決まらないと、企業誘致といってもみなさんが手を挙げていただけるかどうか、なかなかわからないです

吉村さんは一般開放された事については、返還後の街づくりがイメージしやすくなると評価する一方、公園として定着すると返還が遅れてしまうのではと懸念している。

地権者会 吉村正夫 会長:
現実問題として、企業誘致とかここの地権者の土地利用というのがやりにくくなると、「せっかくの公園をどうして潰すんだ」という話になっても困るということですね

吉村さんは地域の発展に貢献するためにも、早期の返還を求めている。

米軍施設返還で沖縄県全体の利益につながることを示したい

ロウワー・プラザの横にあるライカム地区も、もともとはアメリカ軍のゴルフ場であったが、返還後の2015年に大型商業施設が開業して以降、急成長を遂げた。

地権者会は、ライカム地区との相乗効果を図れるような企業や商業施設を誘致したいと考えているが、返還時期が具体的になっていないため、街づくりの議論がなかなか進まないとしている。

吉村さんは、米軍施設が返還される事で街が盛り上がり、沖縄県全体の利益に繋がるという事を県民に示したいと話している。

政府には基地負担軽減の成果を「日米共同使用」ではなく、「返還」という形で示すことが求められる。

地権者会は2024年度中に土地区画整理組合の設立に向けた準備会を結成する予定で、今後具体的な計画を議論していく。

(沖縄テレビ)

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