世界には私たちのまだ知らない植物が数多く存在しており、編集部でも珍しい植物に関する記事を掲載している。
(参考記事:花が“そうめん”にしか見えない植物が話題…そして散った後は“とうもろこし”!? 植物園に聞いた)
そんな中、不思議な形をしている植物が新たに話題となっている。
それがこちらだ。

外側は兜のような丸みを帯びた形をしており、内側は赤黒く、白い2つの凹みがある植物。その姿は、映画「スター・ウォーズ」に登場する「ダース・ベイダー」の顔に似ている。
この植物は「アリストロキア・サルバドレンシス」という名前で、栃木市岩舟町にある「とちぎ花センター」の観賞大温室内入口付近で見ることができるという。
Twitterでは、「世の中には面白い植物、生物がたくさんありますね」「個人的には禍々しくて好きだなー」などの声があり、話題となっている。
なぜこのような見た目なのか?展示している「とちぎ花センター」の担当者にお話を伺った。
白い部分に誘い込んで受粉する
ーーこの花の特徴と生態を教えて
正式名称を「アリストロキア・サルバドレンシス」(ウマノスズクサ属)といいます。幹の下の方(ほとんど地面)に次から次へと咲いていき、目の奥に虫を誘いこんで受粉しています。寒さに弱いので日本では植物園くらいでしか見られないようです。
ーー花のそれぞれの部位の名前を教えて
「ダース・ベイダー」の顔の部分が萼(がく)といわれる部分で、花びらはありません。白い目の奥は袋状になっていてそこに花があります。(虫ぐらい小さくないと見に行くことはできません)

ーー大きさはどれくらい?
1つの花は5cmくらいです。
ーー生息域を教えて
エルサルバドルなどの中米です
すべての花が「ダース・ベイダー」の顔
ーーメロンのような外側部分はかたい?
そこまで固くないですが、花びらのように柔らかくはないです。
ーー普段から開いている?
当センターでは昨年の秋に初めて開花し、その後ちょくちょく咲いていましたが自粛期間中は花を休ませており最近になってまた咲きだしました。
ーーどの花も「ダース・ベイダー」に似ている?
どの花もすべて同じ「ダース・ベイダー」の顔です。

毒はあるが食べなければ問題ない
ーー天敵を教えて
ずばりナメクジです。ひとつやられたことがあります。
ーー毒はある?
アリストロキア・サルバドレンシスはアリストロキア属という種類で、アリストロキア属には毒があります。アリストロキア・サルバドレンシスも毒はありますが、食べなければ問題ありません。
ーーこの花は珍しい?
大変珍しいです。植物園で咲かせているところはありますが、一般の方はほとんど見ることはないと思います。
ーー反響はあった?
大変人気があり、何度も見にきてくれるお客さんもいます。世界的な有名人なので、老若男女問わず反響は大きかったです。

「ダース・ベイダー」に似た「アリストロキア・サルバドレンシス」の白い目のように見える部分は虫をおびき寄せ、受粉させるためのものだった。日本でもかなり珍しいということなので、興味がある人は「とちぎ花センター」に行ってみてほしい。
【関連記事】
濡れると透明になる花「サンカヨウ」が神秘的…なぜ白から変化? 2つの植物園に聞いた