暖冬や4月以降晴天に恵まれない日が多い影響などで、鹿児島でも野菜の高値が続いている。市場関係者から「高値が当たり前になるのでは」と危惧する声が聞かれるほか、売り場でも工夫と苦労が続いているようだ。

例年は倉庫いっぱいの野菜が…

鹿児島市民の台所、鹿児島中央卸売市場青果市場。1日平均300トンほどが取り引きされているが、取材した日は、前日に鹿児島県内を襲った大雨の影響もあって収穫が進まず、250トンほどにとどまっていた。

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野菜は4月ごろから軒並み高値が続いていて、平均で例年の1.2倍ほどの値段になっているという。

がらんとした倉庫。例年だと倉庫いっぱいに並ぶキャベツが、この日は雨の影響もあって非常に少なかった。

キャベツは天候の影響が大きい。この日、キャベツは1箱8玉が1200~1300円ほどで取り引きされていた。前年の同じ時期と比べると1.5倍ほどの高値だ。暖冬の影響で、春先にとれるはずのものがいつもより早めに収穫された上、4月は雨が多く育ちが悪かったのが理由だという。

青果市場の九万田耕生野菜部長は「今年は例年通りに(値段が)抑えられているという野菜はない」と話す。

その一方でレタスは値が落ち着いてきた。4月中旬には1箱12玉が3000円台で取り引きされていたが、ゴールデンウィーク前から、一大産地の長野県産が出回るようになったため、1箱1300~1400円ほどになった。それでも例年より500円ほど高い。

今後の見通しは 「高値が当たり前」に?

高値が続く野菜。5月末ごろからは気温が上がるため、鹿児島県内産の収穫が終わり、市場で取り扱われるのは、高所で栽培される県外産のものが主流になる。

九万田部長によると「人件費、運賃、資材全部が高騰している」ということだが、「青果物(の値段)はなかなか上がっていないのが現状。『去年より高いな』ではなくて、『これが当たり前』という時代がくるのかなと思う」と将来への不安をのぞかせた。

暖冬や日照不足の影響を取材しようと霧島市を訪れた。ある農家では収穫に追われていて、例年と比べても、まずまずの出来だと話していた。しかし一方で畑の手入れを行っていた別の農家は「(大根は)60日くらいで収穫ができるが、ちょっと遅れている」と語った。

日照不足が原因で「品質もばらつきがある」と嘆く。日照不足と雨で、計画より10日ほど大根の出荷が遅れているという。

店側は小分けやバラ売りで高値に対応

この状況にスーパーマーケットはどう対応しているのか。鹿児島市の繁華街にほど近いスーパーでは、市場での取引額が高いぶん売値も高くなっていた。

地元産の早生(わせ)キャベツは税別で1玉298円、2023年より100円ほど高く、買い物客も「今、キャベツ高いよね」と本音がぽろり。

そこで、このスーパーでは1玉を2分の1や4分の1にカットして買いやすい価格帯にした商品を多めに出している。取材した日は、小分けのものを普段より1.5倍ほど多く出していた。

「キャベツとか高いですね。半分くらいの値段だったらいいけど。安い単価のもやしとか(を使って)工夫して料理している」とやりくりの現状を話す買い物客。

それにこたえようと店側も「小分けやバラ売り等を増やして、家計を圧迫しないような買い方ができるお店にしたい」と話す。

雨の季節を前に続く野菜の高値。客側、店側、それぞれが工夫を凝らしているようだ。

(鹿児島テレビ)

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