ゴールデンウィークに滋賀県9歳の小学生の男の子が死亡した飲酒運転事故から5年。突然、大切な息子を奪われた両親の思いを取材した。

【動画】悪質な飲酒運転事故から5年 9歳の子を失った遺族「私たちが受けた痛みは5年たっても全く変わらない」

■「今も心や脳裏に焼き付いて離れません」息子を奪われた父母

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小学4年生だった心誠くん(当時9)は5年前のゴールデンウィーク、悪質な交通事故に巻き込れなくなった。

心誠くんの母親:自分の命よりも大切だという、愛する存在をもぎ取られるように奪われてしまいました。

4月、心誠くんの両親が滋賀県警本部を訪れ、被害者支援を担当する警察官およそ60人に遺族としての心境を語った。

心誠くんの父親:この世に存在する言葉では到底言い表せない重く苦しい感情・記憶は今も心や脳裏に焼き付いて離れません。

2019年5月5日の未明、両親や心誠くんは車で富山から京都に向かっていたところ、滋賀県大津市の国道で逆走してきた車に衝突された。心誠くんは後部座席でシートベルトをしていたが、頭を強く打ち、死亡した。

事故を起こしたドライバーの男は、その夜、勤務する会社の社長と酒を飲んでいて、警察の調べに対し、「ビールとウイスキーを3杯ずつ飲んでいた」と供述した。

心誠くんが4年生になってから毎日書いていた日記。事故の前日、祖父母の家でいとこたちと遊んだことを振り返った文章には次のように書かれていた。

心誠くんの母親:『明日はもっと楽しくなるといいです』って。そう書き残している。

これが最後の日記になった。

男は危険運転致死の罪で起訴されたが、その後の裁判で、男側は事故原因は居眠りで危険運転にはあたらないと主張。しかし、大津地裁はアルコールの影響で正常な運転が難しい状態だったとして危険運転致死罪の成立を認め、男に懲役4年を言い渡した。

■「私たちが受けた痛みは5年たっても全く変わらない」

心誠くんの母親:同じような事件の報道を見るたびに私たちが当時感じていた気持ちを簡単に思い出す。私たちが受けた痛みは5年たっても全く変わらない。そればかりか、世の中の飲酒運転に対する感覚が軽いと感じて、いらだちがつのるばかりです。

心誠くんの父親はことしに入り法務省の検討会に参加し、飲酒運転の厳罰化や危険運転致死傷罪の量刑が重くなるよう法律を見直すべきなどとして、国に思いを訴えています。

心誠くんの父親:危険運転致死罪はとれたけども、懲役4年だったと。息子の失った人生から比べると、“4年”ってなんなんだろうなと。被害者になった方、またその遺族の方が苦しい思いをしないような法のたてつけであってほしい。

悪質な飲酒運転事故から5年。失われた『明日』は二度と戻ってこない。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月2日放送)

関西テレビ
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