親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」は5月10日で開設17年を迎える。
ゆりかごを運用する熊本市の慈恵病院は「出自情報の開示をめぐり混乱が始まっている」と危機感を示した。
課題「いかに出自情報を伝えるか」
2022年度までの16年間に170人が預けられている「こうのとりのゆりかご」。慈恵病院の蓮田健理事長が課題の1つとして挙げたのは、ゆりかごに預けられた子どもに「いかに出自情報を伝えるか」だ。

子どもやその家庭から、出自情報についての問い合わせが年に数件あると明かし、蓮田理事長は「17年前の預け入られた赤ちゃんは17歳になるわけで、今までなかった問題が浮上し始めました。出自情報の開示をどうすべきか。将来の出自情報の開示に向けて養育者がどうやってお子さんたちに状況を説明するか、これまで整理なされてなかった混乱が始まっていると感じる」と述べた。

慈恵病院は預け入れ当時に得られた出自情報は保管しているが、子どものその後の処遇は知らされていない。
管理・開示・心のケアを国の専門機関で
蓮田健理事長:お子さんさんたちが喜ぶ情報はあまりなくて、ネガティブ情報がおおい。将来的にはこども家庭庁で情報開示を専門とする専門家の集団をつくってもらい、管理と開示手続き、お子さんに精神的ケアも必要なので、スキルのある人たちにやっていただく(機関)を、国としてつくってほしい

慈恵病院と熊本市は、ゆりかごや内密出産をめぐる生みの親の情報の管理や子どもへの真実告知のあり方について議論していて、2024年12月までに結論をまとめる予定だ。
(テレビ熊本)