瀬戸内海に浮かぶ広島県の江田島は、人口減少に悩む中、漁業とサイクリングの観光資源で人を呼び込む。以前は年間3万人の観光客が訪れたが、後継者不足で休業した水産物店を地元の温泉宿が復活させた。

後継者不足で運営できなくなった水産物の店

江田島で新鮮な魚介料理と水産物直売で有名だった「海辺の新鮮市場」は、観光客やサイクリストでにぎわっていた。

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しかし、運営を担っていた漁協の後継者不足で1年前に店を閉める事態に。漁業振興を目的に国の補助金で建てられた地元“肝いり”の施設の再興に立ち上がったのは地元の温泉宿「江田島荘」だ。

江田島荘・阿部直樹 総支配人:
私たちが、3年間、江田島荘として培ってきたことが発揮できる場所だと思う。それが江田島のためになると自負しているので、私たちがやる意味があるんじゃないかと

ようやく担い手が決まった背景には、国の補助金で建てた施設のため、経営が漁業関係者のみに限られていたのが、条件が緩和されて江田島市が2023年に、初の一般公募を実施したことがある。

複数の事業者が興味を示し最終的に市内で温泉宿を営む江田島荘に決まった。

地元の新鮮な水産物をその場で調理

スタッフ:
これ全部江田島で獲れた魚。江田島のものをより良く見てもらうために、工夫して並べている。刺身などは、家庭で食べやすいようにこちらで調理する

1階は地元の魚や野菜のほか、お土産品を取り揃える。

鈴木崇義記者:
2階は食堂ですが、綺麗にリフォームされていますね。料理は、江田島の食材をふんだんに使った御膳など、いろいろ用意されています

江田島荘・阿部直樹 総支配人:
ビジネスついでに来られた方が、お仕事しながら食事ができるようにもしている。窓から見える江田島湾は海草のアマモの群生で有名なので、店の名前を「あまも」にした。アマモに魚が集まってくるみたいに、ここにもたくさんの人が集まってくれたらいいなと

閉鎖前の店は、市の人口よりも多い3万人が1年に訪れ、コロナ禍に入ってからも2万人台後半の人を集め、江田島市にとって貴重な観光資源だっただけに、店の復活に地元の期待は大きい。

新たな観光拠点をめざす

江田島荘・阿部直樹 総支配人:
観光の発信の拠点にしていきたい。お客様に「江田島には、こんないいものがあるんだ」ということを伝えていきたい。江田島のここでしかできないというところは大切にしていきたい

江田島市は24日に発表された「消滅可能性自治体」の一つだが、移住者の誘致など、いろいろな方法で地域の活性化に注力している。

1階には地元産野菜の直売場も
1階には地元産野菜の直売場も

江田島市民:
やっぱり発展してほしい。お客さんがいっぱい来てほしい。一時はすごい人だったんですよ。ここは…

コメンテーター・新川美佐絵さん(JICA中国):
自治体・公的機関が立ち上げて、民間にシフトしていくビジネスモデルは、すごくいい形だと思う。広島市内にもインバウンドのお客さんが、すごく増えているので、島に渡るっていう魅力も含めて広島県外、海外からのお客様が増えていくといいと思う。

水産物と農産物のマーケット兼レストラン「えだじま新鮮市場あまも」のオープンは27日。

(テレビ新広島)

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