秋田・北秋田市で地域活性化に取り組む女性が、新たな一歩を踏み出した。海外で秋田の食を発信する夢が一時中断する中、自身の人脈と経験を生かし、若者を呼び込む国内留学プロジェクトを構想。恩師とともに、地域に新たな人の流れを生み出そうとしている。
海外挑戦の延期と新たな決断
神奈川県出身の斉藤美奈子さんは、海外の飲食店勤務などを経て2020年に秋田に移住した。北秋田市の地域おこし協力隊として活動した後も、阿仁比立内地区を拠点に地域活性化に取り組んでいる。
2025年秋にはアフリカのウガンダとエチオピアに滞在し、日本食レストランなどを視察。「秋田の食の魅力を海外に発信したい」という思いを強くし、エチオピアでの活動を決めた。
しかしその後、世界情勢の影響で飲食店の工事が遅れ、渡航の見通しが立たなくなった。
斉藤さんは「年末からはそのスケジュールで全部動いていたが、それが白紙になってしまった事実はある」と語る。
渡航計画は白紙になったが、それでも今回の決断を前向きに捉えている。
「今回は残念だが、秋田に残りなさいというお告げなのかなと捉えている」と、新たな道を見据えた。
恩師と挑むプロジェクト
そんな中で立ち上がったのが、高校時代の恩師・村越亮治さんとのプロジェクトだ。
「二十数年前の担任です」と話す村越さんに、斉藤さんも「16歳から、私の若かりし頃から知ってくれている」と信頼の厚さをにじませる。

現在、玉川大学で准教授を務める村越さんは、学生に地方の現状を体感させる国内留学プログラムを検討。その受け入れ先として思い浮かんだのが、斉藤さんが暮らす北秋田市だった。
「受け入れ先もゼロベースだったが、『そういえば斉藤美奈子がいるじゃないか』ということになった。数カ月滞在しながら地域の暮らしや産業、英語教育はどうなっているのかなど、身をもって学ばせたい」と、その狙いを語る。
学生と地域をつなぐ新しい仕組み
構想されているプログラムでは、学生が地域に滞在し、住民の家庭に宿泊しながら農作業や道の駅での仕事などを経験する。
「お母さんたちのところに泊めていただいて、そこで仕事をして、道の駅で働くとか農作業をするとか生活をして、自分の視野を広げてもらう」と村越さんは具体像を描く。
斉藤さんもこの取り組みに可能性を感じ、すぐに協力を決めた。
「私としては、関係人口の創出の具体的な取り組みというところで、先生と一緒にできるんじゃないかと考えている」と語り、地域に新たな人の流れが生まれることに期待を寄せる。
地域と若者をつなぐ未来への挑戦
北秋田市への提案では、津谷永光市長も前向きな姿勢を示した。お試し移住などを活用しながら学生たちの受け入れの可能性を探る方針だ。
手応えについて、斉藤さんは「幸先はすごく良かったと思う。ちゃんと恩返しじゃないですけど『斉藤美奈子を採用して良かった』と思ってもらえる活動がしたい」と意気込む。
村越さんは「今まで一生懸命やってきたから信用を勝ち得ているんだと思う。人脈というか人のつながりをしっかりつくってきたなと思う。頼もしい」とその成長を見守る。
海外への道が閉ざされたように見えた中で生まれた新たな挑戦。
斉藤さんと恩師が描くプロジェクトは、北秋田市にどんな変化をもたらすのか。人と地域を結ぶ取り組みの行方に注目が集まる。
(秋田テレビ)
