世界遺産登録を目指す新潟県佐渡市の佐渡島の金山。佐渡金山とともにいかに世界に新潟を売り込むか。花角知事などはフランス・パリで世界遺産登録の先も見据え、新潟全体の魅力発信にも力を注いでいた。
交流促進・県産品などの認知度向上へ協力求める
佐渡金山の世界遺産登録に向け、フランス・パリを訪れ、ユネスコ世界遺産委員会の委員国の大使などへのアピールを行った花角知事をはじめとする新潟県の一行。
この記事の画像(15枚)PRイベントなどの日程の間を縫って、日本や新潟に関わるいくつかの場所を訪れていた。
地方自治体の国際交流などを支援する組織・クレア(=自治体国際化協会)のパリ事務所では新潟と世界の人やモノの交流促進に向け意見を交換。
また、農林水産物の輸出支援などにあたるJETRO(=日本貿易振興機構)のパリ事務所では県産品などの認知度向上に向け協力を求めた。
選ばれる新潟へ…“登録後”を見据えた取り組み
世界遺産登録に向けた活動を通し、関心が高まる佐渡金山。同時にその先を見据えた取り組みも重要となる。
日本政策投資銀行新潟支店の試算では、佐渡金山が世界遺産に登録された場合、佐渡市への1年後の年間来訪者数は新型ウイルス禍前2019年の約50万人から70万人に増え、経済波及効果は520億円に上ると見込んでいる。
一方で、過去に登録された世界遺産を見ると、登録1年目では来訪者が増えているものの、その後は岐阜県の白川郷などのように堅調に推移するケースと島根県の石見銀山のように来訪者が減っていくケースが見られる。
世界遺産登録をめぐり、注目される効果を一過性のものとせず、さらに県全体へと波及させるために佐渡金山だけでなく、新潟の魅力を発信し、世界から新潟を選んでもらう取り組みが求められる。
関心高まる県産品 一方で情報不足も…
では、現状で世界から見た新潟はどんな印象を持たれているのか?
新潟県産米を売りにする店では、おにぎりが1個4ユーロ・日本円で約650円ほどで販売され、人気だという。
また、県産品などを取り扱うショップ「キナセ」では、新潟の日本酒を探しに来る人もいるという。
店長の伊藤洋子さんはコメや日本酒などの県産品は品質の良さから「新潟ブランド」としてフランスでも関心が高まっていると感じていた。
その一方で、まだ新潟が日本のどこにあるのか、どのようにアクセスできるのか、知っている人は少ないとして、豊かな食を足掛かりにさらなるPRが必要だと話す。
「新潟のことについて説明している情報が圧倒的に少ない。まずは東京から新幹線ですぐ行ける。新潟の駅に着いたら、ぽん酒館ありますよとか、隠れた魅力ということでこれからアピールする価値はある」
「アクセスの良さも魅力」帰国直前まで新潟をアピール
パリ訪問の最終日。
「新潟県は東京から新幹線でわずか2時間弱、大きな様々な魅力が詰まった県であります」
現地の旅行代理店などを招いたプロモーションイベントを開き、「豊かな食」とともに東京からのアクセスの良さなどを訴える花角知事の姿があった。
その効果はさっそく現れたようで、旅行代理店の担当者からは「日本の都会はオーバーツーリズムに感じる。新潟は温泉などの魅力もあるし、アクセスもしやすい。ぜひ勧めたい」「とても興味深かったので、ぜひ新潟に行ってみたい。お客さんにもおコメの文化に興味がある人が多いので、その方面でも勧めていきたい」との言葉が聞かれた。
花角知事は帰国の便直前まで新潟のアピールを続けていた。
(NST新潟総合テレビ)