首都圏の私立大学の教職員労組でつくる東京地区私立大学教職員組合連合は5日、2023年度の私大新入生が受験から入学までかかった費用を調べる家計負担調査の結果を発表した。

受験から私大入学までにかかる費用には、「受験費用」「家賃」「敷金・礼金」「生活用品費」「初年度納付金」の5つの費目。

自宅外に通学する場合は、230万2181円で前年度比2.1%増加し、過去最高だった。

特に生活用品費は、前年度より14%(4万4800円)も増加した。一方で、受験費用は4.3%(1万1500円)減少している。物価高や可処分所得の減少などで負担感が増えて、受験を絞った様子がうかがえると分析されている。

また、これに仕送り費用を足した「入学の年にかかる費用」は、前年比1.5%増の312万7281円だった。

仕送り金額は、出費がかさむ5月は10万円で、6月以降は8万9300円となっている。仕送り額は年々減少傾向にあるにも関わらず、家賃は増加傾向にあることから、「仕送り-家賃」である「生活費」は年々減少していて、1990年度の2460円に対し、2023年度はわずか653円になった。

ここから食費や交通費、通信費や教材費を賄うのは到底不可能であるため、アルバイトをしないと学生生活を送れない実態が浮き彫りになっている。

一方、自宅から通学する学生が受験から私大入学までにかかる費用は、162万3181円で、前年度比0.7%増(1万901円増)とこちらも過去最高だった。

受験から入学にかかる費用のうち、大学に支払う初年度納付金の割合が、「自宅外」は59.3%、「自宅通学」は84.1%と大半を占めており、学費が重い負担になっている。

さらに、新入生の家庭のうち14%が、学費など必要な費用を借入金で賄っていた。借入金の全体平均は194万1000円と高額で、調査した東京地区私立大学教職員組合連合は、「多額の借入れをしなければならないほど、学費負担の重さに苦しめられている」とみている。

また奨学金を申請した新入生はは、54.2%と半数を超えている事もわかった。

新入生の保護者からは、「高額な学費に加えて物価高騰により家計が苦しい」「高校生までの支援と同様に大学生への支援も平等に行って欲しい」などの声が寄せられたという。

東京地区私立大学教職員組合連合は、今回の調査結果を踏まえて、私立大学の学費負担軽減を求め、国会に向けた請願署名運動に取り組むとしている。

この調査は、2023年5月から7月にかけて、東京・神奈川・埼玉・栃木の1都3県にある13私立大学・短大に通う新入生とその父母を対象に行われた。

(※写真はイメージ)

プライムオンライン編集部
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