自民党の政治資金問題を巡る議員への処分。自民党執行部は、安倍派と二階派の議員ら39人を、4日開かれる党紀委員会で、処分を正式決定する予定です。

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現在分かっている処分内容としては、安倍派の幹部、塩谷元文部科学大臣、世耕前参議院幹事長に対しては、8段階ある処分のうち2番目に重い「離党勧告」。さらに、キックバックについて協議をしていた下村元文科大臣と西村前経済産業大臣は、「1年間の党員資格停止」とする方針です。

高木前国対委員長は、「6カ月の党員資格停止」、安倍派の松野前官房長官と、萩生田前政調会長を「党の役職停止1年間」、そして二階派の事務総長を務めた、武田元総務大臣に対しては、「党員資格停止」か「党の役職停止」を検討しています。

処分に「スタンダード」がない

これらの処分は、国民の納得するものになり得るのでしょうか?
元NHK政治部記者でジャーナリストの岩田明子氏は、今回の処分について「スタンダードがない」と話します。

岩田明子氏:
今回、ギリギリまで処分が決まらない人、(処分が)1週間前と前日とで重くなったり軽くなったりと、こういう所を見ていますと、まず基準、“スタンダード”がないと感じます。
例えば、トップの責任を問うというのであれば岸田首相、二階さん、塩谷さん、参院の世耕さんというくくりになりますし。それとも、いったん中止したキックバックを復活させたことの責任を問うというのであれば、4月なのか8月5日に参加していた人たち。
それか、事務総長経験者というふうに区切ることもできるんですけれども、そこが執行部内、あるいは執行部以外の重鎮の方たちの思惑で、武田さんについては重くしたい人、それとも二階派と安倍派は違うんだと、安倍派は組織ぐるみのキックバックだったけれども、二階派は事情が違うと言って、差別化を図ろうという考え方の違いがあって。

これね、結局、ギリギリまで決めずに、例えば武田さんの案件について党紀委員会にそのまま丸投げという状況になると、決めるのは党紀委員会ではありますけれど、青写真描けなかったということになると、岸田さんの指導力にかなり疑問符がつくことになりますし、党内からも批判が強まると思います。

――それぞれの勢力がリークをしあって、暗闘しているような状況だと?
岩田明子氏:

情報が出る度に世論が厳しくなって、ハードルがどんどん上がっていくという状況はあったと思うんですけども。岸田首相も、サプライズをするときは誰にも相談せず根回しもしないで、どーんと出すんですけども、今回は情報が小出しに出てハードルが上がっていったと。

弁明書を提出する議員も…

処分の決定に先立ち、処分内容に弁明を希望する場合、「弁明書」を提出するよう求められましたが、安倍派幹部へ重い処分が決まったことに猛反発していた塩谷氏の他に、下村氏と松野前官房長官の少なくとも3人が処分に反発し、自らの責任を否定する弁明書の提出を決めました。

――処分内容を不満に思っているところがあると?
岩田明子氏:

不満だと思っている人は当然出しますし、今回の処分は受け入れ可能だと思っている、例えば萩生田さんとかも弁明書を出すんですね。それはなぜかというと、事情を説明したいということで、例えば当選回数が多い人や役職付いていた人はノルマが大きかったと。で、コロナになってノルマが下がった事で、余剰分が出てきたんだと言いたい人も弁明書を書くようです。

古市憲寿氏:
派閥をなくしたというのに、結局派閥争いみたいなことが起こっていて。本来、政治と金の問題って政治資金規正法で、抜け道とか、それを踏まえてこれからパーティーをやっていくのかどうかとか含めて、ちゃんと考えなくてはいけない話しだと思うんですけど、今起こっている事って政治資金規正法の改正とかではなくて、派閥争いの延長みたいな事を見せられているなと。
世耕さんとかも、重い処分の予定ですけども、でも一応東京地検特捜部としては事情聴取をした上で、起訴しないという判断をしている訳じゃないですか。にもかかわらず、世耕さんをこういうふうに処罰するなら、会計責任者が有罪になっている岸田首相の場合はどうなるんだとか、すごくちぐはぐだなと。
だから派閥闘争ではなくて、きちんと政治とお金の問題を抜本的に考えるところまで踏み込まないと、結局自民党に対する信頼は戻ってこないのではないかなと。
(「めざまし8」4月4日放送より)