使わなくなったダンボールを再利用してつくられたノートやシールなどのステーショナリーブランド、「rubodan(ルボダーン)」。

さまざまな作品を手がけているのは、アーティストの儀間朝龍(ともたつ)さん。文房具の制作の一部を地域の自立支援センターに託し、障害のある人々の雇用や収入にも繋げている。

廃棄されるはずのダンボールに新たな価値を加える儀間さんの取り組みを取材した。

廃棄されたダンボールに新たな命を吹き込む

2024年3月20日、沖縄市のプラザハウス内のD&DEPARTMENT OKINAWAでオープンした企画展。

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かわいらしいノートやシールなどのステーショナリー、個性的な木箱やいす、そしてカラフルなポップアートなどこれらは全て不要となったダンボールを再利用してつくられた。

作品を手がけているのは、アーティストの儀間朝龍さん。

rubodanというブランドで、ダンボールステーショナリーを作っており、ノート、レターセット、ステッカー、しおりを用意している。

本来、廃棄されるはずのダンボールに新たな命を吹き込む「rubodan」。

これまでの成果となる企画展が実現した。

儀間朝龍さん:
ダンボールから何かものを作ることをしている人はたくさんいると思うんですけど、水に浸けて一枚一枚剥がし、それを商品にしたり作品にしたりという人はあまりいないのかなと思います

商品化のきっかけは国際協力事業

儀間さんがrubodanを手がけるきっかけとなったのが2010年、国際協力事業で南太平洋に浮かぶ島国、サモアを訪れたことであった。

当時のサモアではリサイクルが定着しておらず、ゴミがゴミのまま捨てられる風景が広がっていた。

ダンボールをゴミとしてしか処理されていないため、何かできないのかと思い、儀間さんはダンボールを使ったワークショップの授業を行った。

ダンボールから紙をつくるというアイデアを生かしたワークショップは、現地の人々にリサイクルの考え方を伝えるきっかけとなった。

儀間朝龍さん:
アイデアを広めたいという思いが強かったので、誰でもできるような仕組み、作り方というのを最初から意識していました

サモアの経験から13年。儀間さんは現在、rubodanの制作の一部を沖縄県内の自立支援センターに託している。

2023年からノートづくりに携わっているのは、沖縄市で就労継続支援事業を行っている自立プラザ・希織(きおり)。

自立プラザ 希織 職業指導員 仲本大輔さん:
率直におもしろいアイデアだなと思いました。時代に合ったとても良い商品だと思いますね

世界一書きづらくてユニークなノート

誰もが簡単にできる単純作業からなるノートづくり。

rubodanが駆け出しのころ、この作業に参加したいと一つの事業所が手を挙げたことをきっかけに、今では県内4カ所の自立支援センターで制作が展開されている。

ノートを作り販売することで利用者のやりがいだけでなく、大事な収入にも繋がっている。

希織を利用している仲地栄さん:
ちょっとまだ慣れないので難しいですね。これから慣れていけばと。仕事だから、おもしろく楽しく

自立プラザ 希織 職業指導員 仲本大輔さん:
できれば他にも携われる商品があればぜひ制作していきたいです。多くの人にいい商品だと言ってもらえるように、僕たちも利用者さん含めて一緒に制作に一生懸命取り組むので、いろんな方にこの商品を見ていただきたいですね

儀間朝龍さん:
うちの(ノート)は世界一書きづらくて使いづらいかもしれないけど、多分世界一ユニークなノートになっていると思うから、それを楽しんでくれたらと思っています

自分の好みを探すのが楽しい

儀間さんの思いに賛同し、今回初めてダンボールを提供したのが、沖縄市のプラザハウスで輸入商品を販売するフードマーケット・ロジャース。

ソムリエの内間絵里子さんは、「(ダンボールは)全て廃棄するので、いらないものと思っていたが、実際手に取ると、こんなにきれいに形を変えるんだ」と驚いたと話す。

フードマーケットで出たダンボールを地域の自立支援センターに託して商品をつくりあげ、プラザハウスで販売する。

全て沖縄市内で完結する循環の仕組みをつくった儀間さんの企画展には、オープン初日から注目を浴びていた。

企画展に訪れた親子:
廃棄されるものがこんなにかわいいものに生まれ変わるのかと。ダンボールなので、その擦れ具合も一つひとつ異なり、自分の好みを探すのが楽しいです

企画展に訪れた女性:
ダンボールを剥がしてつくっているのかな?すごいなと。リサイクルとかいい考え。すぐ捨てないで使うというのがすごいと思います

D&DEPARTMENT OKINAWAでは、店頭でのステーショナリーの販売に加え、プラザハウスから出るダンボールを集め、自立支援センターに手渡す役割も担っている。

D&DEPARTMENT OKINAWA 田口陽子さん:
ピックアップしてきて、ここ(バックヤード)に保管しています。こちらのダンボール箱が4箱くらい溜まったら希織さんに連絡をして、希織さんが取りに来てくれて回収するという流れになっています

D&DEPARTMENT OKINAWAの田口陽子さんは、「儀間さんの手を離れても回っていくようなシステムを構築されているというのが驚きです。これからもますます刺激的なことを提供していただきたいし、私たちからも発信していきたい」とこの取り組みを高く評価する。

廃棄されるダンボールを用いて誰もが簡単に新たなものを生み出せる。

儀間さんのアイデアと技術が地域全体で手を取り合い、環境問題に取り組む機運を高めている。

儀間朝龍さん:
元々がみんなでシェアしたいというのがテーマです。自分としては良いものを作って、誰かがまねしてくれたり、やってみたいという人たちが増えていったりしたときに、アイデアがどんどんシェアされ、このアイデアが広まるということが自分の最終目標です。いろんな意味で、両方頑張らないといけないと思っています

(沖縄テレビ)

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